学び合いをファシリテート 伊藤羊一流の人材育成術
リスキリング戦略昔はエリートも議論好き、シニアも学び合える

元興銀マンからデジタル業界に転身した伊藤さん
――伊藤さん自身は、麻布高校から東京大学、旧興銀と日本の伝統的なエリートコースを歩みましたね。
「確かに麻布は進学校ですが、個性的で、自由奔放すぎる学校です。歴史や科学にめちゃくちゃ詳しい男もいれば、スポーツですごいのもいる。それぞれが得意な話をベラベラしゃべり、楽しい学校生活をエンジョイしている印象でした。かつては興銀もディスカッションの銀行と呼ばれていました。侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を戦わせていましたね」
「バブル崩壊後に経営が厳しくなり、僕も心を病んだ時期もあります。ある日突然、金髪にして出勤したら、上司からそれだけはやめてと(笑)。一時はボロボロになり、様々な経験をしてデジタル業界に来たら、また面白くなってきました」
――一昔前の官僚は霞が関で白熱議論を展開してイキイキしていましたが、今は閉塞感にさいなまれていますね。企業でも中高年の活性化が課題になっています。50代のリスキリングはどうしたらいいと思いますか。
「Zアカデミアにはそれほどシニア層は多くいません。しかし、シニア向けのクラスにはみんな一生懸命参加しています。同じ年齢層なので、モジモジすることなく、安心して自由に発言しています。やる気があれば年齢は関係がありません。みんなで一緒に楽しく学び合えば、必ず課題は解決すると確信しています」
(聞き手は代慶達也)