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――確かにサムスンは世界企業に飛躍しました。日本企業が本気で人材戦略に向き合うようにするにはどうしたらいいのでしょうか。

「まずは企業内に最高人事・人材責任者(CHRO)という人材戦略を担う責任者を置くこと。さらに最高経営責任者(CEO)は最高財務責任者(CFO)など経営中枢メンバーと同様にCHROと徹底的に対話し、経営戦略に人材戦略を取り込む必要があります。CHROは社外取締役との意見交換も必要。常に従業員エンゲージメントなどの調査データをフィードバックし、共有した方がいいでしょう。日本企業は『従業員を大事にしている』とよく言われました。確かに解雇を強行したりしませんが、戦略的な人材育成に力を入れてきたわけでもありません」

――実際は社員を囲い込み、従順に働かせることを強いている企業は少なくありません。午前9時から午後5時まで時間で管理し、一緒に真面目に働き続けましょうと。しかし、今の優秀な人材はこんな会社を選ばれないですよね。

「石の上にも三年」では若手社員は辞めてしまう

「『石の上にも三年』と単純に我慢を強いたら、今の若手社員はすぐに辞めてしまいます。企業の人材育成には柔軟性が求められます。一度外に出て、戻ってきてもいい。東日本大震災の直後、大手企業からも多くの社員が被災地にボランティアに行きましたが、元気に戻ってきたそうです。日常と違う場所で、多くの人と交流すると、人材は活性化します。副業・兼業は人材育成には有効。新型コロナウイルス禍で急速に普及しましたが、リモートワークなど時間や場所にとらわれない働き方も大事です」

伊藤氏は「人材活性化にはショック療法も必要」と語る

伊藤氏は「人材活性化にはショック療法も必要」と語る

――今、パーソルキャリアが仲介役となり、企業間を社員が相互に行ったり来たりする試みも始まっています。ただ、中堅社員は出世の階段を一歩一歩上っていくタイプの人がいまだに主流です。

「人材活性化にはショック療法も必要でしょうね。同じ部門で真面目に30年以上働き、事業部長になったとしても、ゼロから戦略を描けるでしょうか。デジタルトランスフォーメーション(DX)やイノベーションなど革新的な事業を起こせる人はほとんどいないでしょうね。あえてポストオフにより、事業部長から外し、本人にじっくり考えてもらう時間を提供するのも手かもしれない。米シリコンバレーの企業はここが勝負の3~4年と思ったら土日もなく、集中的に働きます。しかし、日本の大手企業の会社員は会社人生35年余りだからと、エネルギーを平準化し、地道に進もうとします」

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