リモートつらいと転職検討 若手も気づいた出社の価値
エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子
次世代リーダーの転職学管理職や経営者も「出社」の価値を認識
出社を希望しているのは、孤独感や閉塞感から抜け出したい若手メンバーだけではありません。30代~40代マネジャークラスも、リモートワークの悩みを抱えています。

オフィスで顔を合わせる価値が見直されている(写真はPIXTA)
「姿が見えないので、問題を抱えていたとしても、適切なタイミングでサポートができない」「評価基準が『成果』に偏りがちで、目に見えない頑張りを評価してあげられない。アピールが上手なメンバーとそうでないメンバーがいて、不公平になってしまう」
「リスクマネジメントの観点で、上長や社長に報告すべきラインを判断しづらいことがある。オフィスにいれば話しかけやすかったが、『リモート会議を設定してまで伝えるべきことなのか…』と迷ううちに、後手後手になってしまう」
一方、ベンチャー企業の経営者たちも危機感を抱いています。
フルリモート体制に移行し、オフィスを解約した企業も多数。当初はオフィス賃貸料のコスト削減や、遠隔地から人材採用ができる点をメリットと捉えていましたが、ベンチャーの強みである「スピード感」「イノベーション」が失われることへの懸念が生まれています。
担当業務が細分化されていないベンチャーでは、発生した業務に対して手分けして対応しますが、「これは僕がやっておくよ」「あなたは今、業務を抱えすぎだから私が手伝うよ」といった臨機応変の連携がしづらくなっています。結果、ビジネスの展開スピードが落ちてしまうわけです。
また、オフィスでのささいな雑談から新しいアイデアが生まれ、イノベーションにつなげるチャンスも減っています。
もちろん、リモートワークによって生産性が上がった事例も多数ありますが、オフィスでの対面コミュニケーションの価値が見直されているのも事実です。