働く場所は自分で決める ワーケーションの効用を考察
『どこでもオフィスの時代』
若手リーダーに贈る教科書本書の中では、ユニリーバやJALなど、実際にワーケーションを企業の制度として取り入れている会社のインタビューも入れています。実践する社員たちが普段と違った環境や人から学びを得る。拠点を設ける地域にもいろいろな人材を呼び込み、地域を活性化するきっかけをつくる。新しい働き方が生み出すものを知ることは、コロナ後の働き方を考えるうえで様々な示唆を与えてくれます。
◆編集者のひとこと 日本経済新聞出版・雨宮百子
2019年、長崎・五島列島でオンライン経済メディア、ビジネスインサイダージャパンが主催するリモートワークの実証実験が行われました。そこに、山口周さんも、みつめる旅の方々も参加されていたのが本書を作ることになったきっかけです。当時はコロナで社会がこのような状況になるとはだれも思わず、リモートワークの普及すら何年かかるのだろうかというような状況でした。
朝早く起きて海をながめながら仕事をし、地域の人たちと交流するために早く仕事を切り上げる。変わり映えしないオフィスと違って「やりたい」がたくさんある環境に、とても刺激を受けました。ここでの縁が本書につながっています。
オフィスにすら行かなくなった時代に、悩むのは新たな出会いです。オンラインでの情報交換は可能になりましたが、ふとしたアイデアや深い信頼関係は、実際に同じ場や空間を経験するなかでうまれてくる気もします。
リアルがいいか、オンラインがいいかの二択ではなく、ワーケーションなどの選択肢を混ぜ込み、変わりゆく時代に対応していけたらと思います。
一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ出版社の編集者が20~30代のリーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。