AI時代突入、生き残るコンサルと消えるコンサルの分かれ目
あしたのマイキャリア
転職サイト「日経転職版」は特別セミナー『「コンサル」でサバイブする、AI時代のキャリア「生成」術』を開催した。今、様々な市場に活躍の幅が広がり、採用市場でも人気を集めるコンサル業界。業界最先端にいる専門家リブ・コンサルティングCOOの権田和士氏と、法政大学教授で一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事も務めるキャリアの専門家田中研之輔氏に、生成AIの進化の影響なども踏まえたコンサル業界の現状と今後について語ってもらった。
5、6年で倍増したコンサル市場
田中氏 今、コンサル業界に注目が集まっていますが、その理由は何だと思いますか?
権田氏 コンサル業界は明確にこの5〜10年で大きく変わった業界です。日本の経済がこれほど停滞している中、コンサル市場は5、6年連続で成長率10%以上、マーケットサイズは5、6年前と比べて約2倍にまで広がっています。その要因は、発注者の中心がエンタープライズでいわゆるDXなどに投資を広げているからだと思います。新卒もキャリアも業界が始まって以来、最もコンサルタントになりやすい状況になっています。
田中氏 ChatGPTや生成AIなどの登場でホワイトワーカーの働き方が便利化・効率化する方向に変化している中、コンサル業界における「仕事が奪われるのではないか?」「AIと共存できるのか?」などの問題については、どのように解釈されていますか?
権田氏 もともとAI脅威論では、単純業務や肉体労働の仕事が奪われると言われていましたが、言語を発達させたChatGPTの登場で、言語を使う知的労働者であるコンサルタントは、まさにバッティングするだろうという話になりました。具体的には、トラスティッドアドバイザーと呼ばれる仕事、つまり「誰が言うかが重要」な仕事は残るでしょうし、さらにChatGPTが作り出したものを監査する役割もしばらくは残るでしょうから、一番ダメージを受けるのは、リサーチしたりまとめたり編集したりという業務を担う若手だと思います。
一方で、ChatGPTの弱点は「身体性」と言われているので、足で稼いだり一次情報を取ってきたりする人の希少性は高まっていると思います。つまり、中間層の働き方への影響が一番大きく、身体性をもって一次情報を取ってくる人たちと、それを使ってバイネームで仕事している人たちは、今後も求められると思います。
田中氏 どんな人材がコンサル業界で活躍できると思いますか? 世代別に聞きたいのですが、まず20〜30代の若手からリーダーぐらいの層ではどうでしょう?
権田氏 当社に関しては、ベンチャーやエンタープライズの事業開発などがクライアントの、新しい仕組みをどんどん作っている会社なので、常識の裏側にある非常識を見出して、その非常識を常識に変えていくコミット力がある人が必要です。一方、一般的にコンサル業界では保守本流の人が圧倒的に多く、クライアントである大企業からも、きっちり仕事ができたり責任感があったりという部分が求められていると思います。