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Off-JTは座学の要素を多く含むことから、ビジネス社会ではその効果について疑問を持たれることもしばしばありました。現場を知らずにどうやって仕事を覚えるのか、頭でっかちになるだけだ、などの皮肉を言われることもありました。

ですから最近のOff-JTは、座学だけで構成されることが少なくなっています。

座学により理論や知識を学び、その後一定期間の実務で実践します。その上であらためて座学によって振り返りを行い、自分自身の経験を体系化してゆくサイクルを用いることが多いのです。

実は本来の経験学習は、実践と内省の繰り返しによるものです。経験学習についての理論は様々ですが、内省と実践との間に概念化を置いたり、実践と内省との間により具体的な経験化を置いたりする場合もあります。いずれにしても、経験するだけでなく、経験を学びに変えるステップがそこにあります。

かつてのOJTにおける経験学習サイクルでは、内省から概念化に至るプロセスを、先輩からの指導や、本人の学びによって補っていました。しかし適切な指導ができる先輩、言われなくても内省できる後輩、という状況がそろわなければ、十分に効果を発揮できないものだったのです。

現在のOff-JTでは、上司や本人の資質に頼らない経験学習サイクルを回そうとするものです。だからこそ、誰でも学び、育つことができる環境が整いつつあります。

本来の経験学習へ踏み出す

考えて見れば、ほとんどのビジネスパーソンは、学生時代には、座学を中心とした学びの時代を過ごしてきたはずです。中学、高校、大学、と学びを深めその上で、ビジネス社会に飛び出してきたはずです。

しかしビジネス社会に出たとたん、OJTによる狭い意味での経験だけで育ってきてしまうと、改めて今さら学ぶなんて、などという否定的な感情にさらされてしまうようになります。

まずはそのような否定的感情というブレーキを外し、あらためて学ぶきっかけを作ってみてはいかがでしょう。

今所属している会社の中にそのためのOff-JTの仕組みがなかったとしても、様々な学習環境が用意されています。コロナショックという大きな変化を前向きにとらえた人たちによる、リモートでの教育の仕組みも数多く整いつつあります。

そうして「受け身にならず、変化を前向きにとらえ、新しい未来を構想し実現してゆく」ようになれば、何歳からでも新しいキャリアを築いてゆけるようになるはずです。

 平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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