変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

際立つ「顧客に集中する姿勢」

さらに重要なポイントは顧客への徹底したこだわり。やはり最初の手紙で「私たちは創業当初から、お客様に圧倒的な価値を届けることに集中してきました」と書き、翌年の1998年を振り返っての手紙では「恐れなければならないのはライバル企業ではなく、お客様です。アマゾンを今の姿にしてくれたのもお客様ですし、私たちが関係を構築している相手も、大きな義務を負っている相手もお客様です」とまで書く。こうした姿勢が年40兆円を超える売り上げに達してなお成長を続ける原動力なのだ。

社内で生まれるイノベーションのこと、人材採用について、宇宙を目指すことについて、子どもの頃のこと……。会社経営のみならずベゾス氏の考えの様々な側面が収められたいろいろな文章で語られる。リーダーシップや経営哲学の本として読むこともできるし、人生を考える本として読んでもいい。ビジネスと人類・社会との関係を考える材料にもなる。

ジャーナリストでレオナルド・ダビンチやスティーブ・ジョブズ氏の伝記を書いたウォルター・アイザックソン氏による約40ページにわたる序文も、本書のアウトラインとベゾス像を的確に伝えて読み応えのある内容だ。「年明け最初の週も店頭でよく売れていた。今いちばん手にとってほしい本のひとつ」と店長の加藤よしこさんは言う。

BCGによる予測本が1位に

それでは先週のベスト5を見ておこう。

(1)BCGが読む経営の論点2022ボストンコンサルティンググループ編(日本経済新聞出版)
(2)生産性伊賀泰代著(ダイヤモンド社)
(3)Invent&Wander――ジェフ・ベゾスCollected Writingsジェフ・ベゾス寄稿(ダイヤモンド社)
(4)エンベデッド・ファイナンスの衝撃城田真琴著(東洋経済新報社)
(5)エフォートレス思考グレッグ・マキューン著(かんき出版)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2022年1月3~9日)

1位は戦略コンサルティングファーム、ボストン・コンサルティング・グループによる経営予測本。2022年のメガトレンドと業界別の論点を展望する。2位はベストセラーになった組織・人材論で、16年刊と刊行から時間がたっているが、まとめ買いが入って上位に食い込んだ。3位に今回紹介したベゾス氏の本。4位の本は広まりつつある新しい金融サービスの動向を紹介、解説した内容だ。5位の本は前回、同書店を訪れたとき「もっと楽に成果を 無駄な努力をなくす働き方のヒント」の記事で紹介した本。そのときは入荷直後だったが、その後順調に売れてランキング上位が続いているという。

(水柿武志)

Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings

寄稿 : ジェフ・ベゾス
出版 : ダイヤモンド社
価格 : 1,980 円(税込み)

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