「新社長! 戦略は変わるのか?」と役員に問われたら…
【新任社長の苦悩】編 (1) 知っているようで知らない戦略と営業の違い
会社員社長1年目の教科書本書で言う悪い戦略の典型例は、①わかりきったことをけむに巻くような用語で説明するもの②解決すべき重大な問題に取り組まないもの③「売上高20%増」など目標だけが並べられているもの④重大な問題に関係がなかったり、実行不可能な誤った目標を掲げているもの――の4つだ。
筆者が考えるに先の「お客様の要望に応え続ける」はどのビジネスにも適応できるため、①に近い。特に多くの部署を抱える新任社長は嫌われたくないので、みんなの意見をとりこみ、戦略がこうした曖昧な言葉になっていく。
本書ではいい戦略を作るための基本的な方法を紹介しており、現状を診断して課題を見つけ、解決のための基本指針を示し、基本指針を実行するための行動を示すこととしている。
実行のための行動を含んだものが戦略
本書の良い点は、このように曖昧な言葉を並べることではなく実行のための行動を含んだものを戦略と呼ぶ点だと考えている。もしあなたが本書を読み、上記の手順の通りに戦略を作るのが難しいと感じたならば、1冊目と組み合わせることを筆者はお勧めする。筆者の考えでは、1冊目を使えば、基本指針を4つの武器のどれかを磨くことに割り切れる。
①安く作る②リピート率を高める③規模の経済を効かせる④業務の効率を高める――の4つだ。それらの武器を磨くための課題を見つけ、「これらのために、~をする」という言葉にすれば行動まで伝わりやすい。「安く作るために、まず仕入れ先を最安値の企業に統一する」といった言葉だ。
それでも難しい場合は、本書にあるキラーフレーズを自分に問いかけてみることをおすすめする。武器を磨くのに失敗した場合に「すぐ会社がなくなるとしたら、今何をしますか?」という問いだ。いくつか候補がでてくるはずだ。最も大事なものだけに注力しよう。こうして自社の磨くべき武器が見極められれば、あなたも営業の話にとどまらない会社の戦略を示せるかもしれない。
