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「宇宙業界の世界が見えてきた」。米カリフォルニア大学やドイツのベルリン工科大学にも留学した。ここはアポロ計画に携わり、米ソ宇宙開発時代の象徴的な科学者フォン・ブラウン氏の母校だ。オランダで開催された国際宇宙大学のサマーキャンプにも参加、世界中の天文台も回った。

JAXA、パリ天文台で衛星開発

20年、大学院修了後にJAXAの筑波宇宙センターに入職し、地球観測衛星である先進レーダ衛星「だいち4号」の開発に携わった。チーム内で唯一の20代メンバーでありながら、衛星開発システムエンジニアとして活躍した。

さらに博士号取得のため、パリ天文台の研究員となった。ルイ14世の命により1667年に誕生した世界最大級の天文学研究センターだ。ここで小仲さんは、UV(紫外線)偏光分光器を搭載した小型人工衛星の開発などに携わっている。

フランスは米国と並ぶ航空宇宙大国だ。欧州の「アリアンロケット」プロジェクトを主導。フランス人初の国際宇宙ステーション船長となったトマ・ペスケ氏など著名な宇宙飛行士も輩出している。

多様な文化で宇宙飛行士へ自己研鑽

パリ天文台で研究員をしている小仲さん©Paris Observatory

パリ天文台で研究員をしている小仲さん©Paris Observatory

「多様な文化の中でサバイバルして自分を磨こう。海外で宇宙工学を学び、そして女性として宇宙を目指したい」。小仲さんは、13年ぶりにJAXAが取り組む宇宙飛行士の募集に迷わず応募した。

実は欧州でも同様の募集がスタートしている。欧州では女性や身体障害者などの宇宙飛行士養成にも積極的だ。パリ天文台の上司や同僚は、小仲さんの宇宙飛行士の挑戦を応援してくれているという。

アルテミス計画の第1弾として、NASAは、まもなく日本の月面探査機を搭載したロケットを打ち上げる予定だ。成功すれば、日本の探査機の月面着陸は初めてとなる。一方で来春にはJAXAの宇宙飛行士の候補者が決まる。選ばれるのは「若干名」だ。

人類史上初めてアポロ11号が月面に着陸したのは1969年。あれから半世紀が経った。「自分も月に行きたい」。11歳の時に思い描き、世界を舞台に「学びのアップデート」を続けた小仲さんの夢は叶うだろうか。26歳の女性研究員の挑戦はまだ始まったばかりだ。

(代慶達也)

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