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40代ならマネジメント経験をアピール

――ある程度の額の年収を得たいという人も多いのでは。

「根拠なく年収アップを望むと転職活動は難航しますが、『家族がいるので年収は●●円以上を希望』という条件を考えるのは一般的なことです。大企業から中小企業に転職すると、初年度の年収が現職よりも下がってしまい、家族の反対に遭うケースも見られます。そのような場合には、最初は下がってしまっても、会社の将来性を考え、長い目で見れば転職することが得になると説得を試みるのがいいでしょう。実際、今後需要増が見込まれる製品を扱う会社であれば、現職にとどまるよりも結果的にはよい収入を得られることが予想されます」

「会社の規模ではなく仕事のやりがいを重視して、ベンチャー企業の役員候補として転職し、年収1000万円以上になった事例もあります」

――ミドル世代特有の、転職活動時の注意点を教えてください。

「40代は管理職としての転職が主です。求人の数が限られるので、しっかりと対策をして選考に臨んだほうが内定につながりやすいです。そのためには、自分一人で転職活動を進めず、エージェントを活用し、自分のスキルの棚卸しや、面接で強みをどのように伝えるのかといった点を確認したうえで活動を進めたほうがよいでしょう。実際に相談に乗っていると、自分の経験のうち何をアピールすればいいのかわからない、そもそも書類の書き方が正しいのかも自信がないという人が少なくありません」

「書類選考や面接で、新卒や第二新卒のように、自分の性格やマインド面をアピールする人がいますが、40代の転職では、それは求められていません。若手であればポテンシャルで採用されますが、40代は『実務面で何がどれくらいできるか』が重要なポイントです。その点をきちんと伝える必要があります」

――転職がうまくいかない人はどんな人でしょうか。

「経験がある分、あれもこれもとアピールしたいことが多くなり、職務経歴書や面接での話が長くなってしまう人です。職務経歴書ではポイントを絞って書き、A4サイズ2枚程度にまとめる。面接では結論から話し、長くても2分程度におさまるようにしてください」

――40代ならではのアピールポイントはありますか。

「実務経験に加えてマネジメントの経験は必須です。必ず書類に記載してください。そのほうが書類選考の通過率も上がりますし、提示される年収も高くなります。マネジメントのなかでも、とくに人材育成での実績があると企業の感触がよいでしょう。40代の管理職を募集している企業は、メンバーの統括を課題としていることが多いです。その経験やノウハウを発揮することを期待されています」

40代の書類選考通過率は20% 悩まず相談を

――転職をなかなか決断できず「様子見」している人もいるようです。

「様子見しているうちに、受ける企業がなくなってしまう可能性もあります。業態変換のための中途採用のピークを、2022年と定めている企業もあります。ある自動車関連会社は今後3年分を22年にまとめて採用するといった方針を出し、人材確保を急いでいるほどです。今年が転職の絶好のチャンスという人もいるでしょう。また、40代の書類選考通過率は、よくて20%と言われています。5社に1社しか選考に進むチャンスがない世界で、悩み立ち止まっていたら、なかなか内定にはたどりつけません。転職を考えているなら、ぜひ動き出してください」

「転職エージェントに登録や相談をしたからといって、転職活動をしなければいけないわけではありません。転職するかどうかを決めかねているのであれば、市場の様子や自分の客観的な評価を知るためにも、まずは一度相談することをおすすめします。転職する、しないを決めるのはその後でもいい。なかには転職活動をした結果、『やっぱり今の会社で仕事を続ける』という選択をする人もいます。それはそれで、より前向きに現職に取り組めるようになるのでいい決断だと思います」

「何か資格をとってから転職を、と考えている人もいるかもしれません。40代であれば、その結果年齢が上がってしまうリスクを負うより、より若いうちに転職活動に取り組んだ方がいいでしょう」

――40代以上の転職は今後も増えていくでしょうか。

「増えると思います。終身雇用制度は、人口が増え、日本経済が成長しているという2点がそろってこそ成り立つもの。定年まで1社で勤めあげることは、ますます難しくなるのではないかと予想しています」

「コロナの影響で転職できないのではと不安に感じている人もいますが、都市部も地方も、コロナ前より求人数は増えています。それだけ、変化していかなければならない企業が多いということです。今後3年ほどは、求人の状況は変わらないのではないでしょうか」

坂元 亜衣
webマーケティングの営業職を経てパソナに入社。東海地方(愛知・岐阜・三重・静岡)でキャリアカウンセリングから内定まで、転職希望者のサポートをしている。

(日経転職版・編集部 木村茉莉子)

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