自分との向き合い方を決めておく イライラしたら「ゆっくり」動く
順天堂大学医学部教授 小林弘幸(5)
リセットの習慣
写真はイメージ=PIXTA
「イヤなことが起こったり、ストレスのかかる瞬間に出会うことは原則として避けられません。大事なのは、その悪い流れに引きずり込まれないように流れを断ち切り、いい流れに変えること」。自律神経研究の第一人者で医師の小林弘幸氏によれば、これがリセットです。ライフプランを考え、リスキリングに向き合うときにも意識しておきたい行動習慣といえるでしょう。NIKKEIリスキリングでは、リセットの考え方やノウハウをまとめた同氏の著書『リセットの習慣』(日経ビジネス人文庫)から、その一部を紹介します。5回目は、第4章〈「自分との向き合い方」をリセットする〉から3つの習慣を紹介します。
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「自分との向き合い方」を考えている人は意外と少ない
コンディションを整える上で「自分とどう向き合うか」は非常に大切です。
あなたは落ち込んでいるとき、そんな自分とどう向き合うかを考えたことがあるでしょうか。ほとんどの人はわざわざそんなことを考えたりしません。ただただ気持ちの赴くままに落ち込んでしまうものです。
これこそ、まさに「悪い流れに乗り続けている」状態です。
今回あなたに意識してほしいのは、さまざまな場面や状況における「自分との向き合い方」。
たとえば、自分が落ち込んでいるとき「こういうふうに向き合って、こんなことをする」と決めておくと悪い流れを断ち切り、リセットすることができます。
人生には本当にいろんなことが起こります。望まない異動を命じられることもあれば、思わぬ事態が降りかかってきて落ち込むこと、絶望の淵に沈むこともあるでしょう。
そんなとき私たちは自律神経を乱してしまいます。自律神経が乱れていると感情のコントロールが利かなくなり、思考力も、判断力も低下します。結果として、より状況を悪化させてしまいます。
そんなときこそ「自分との向き合い方」を思い出してほしいのです。
自分との向き合い方と、その対処法をあらかじめ持っておくと、とりあえず「これをやろう」「自律神経を整えるために、こう考えよう」と流れを変えるアプローチができるようになってきます。
また、自分との向き合い方を意識すると無駄な時間を減らすこともできます。
ダラダラと流れていってしまう時間、くよくよ悩んでいる時間を減らし、上手にリセットし、次に向かいやすくなるのです。自分の人生を有意義に過ごすためにも、ぜひこの機会に「自分との向き合い方」を考え直してみてください。