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日経HRの転職コンサルタント・本杉裕樹さん

日経HRの転職コンサルタント・本杉裕樹さん

中途採用の選考段階で、正式な面接とは異なる「カジュアル面談」を実施する企業が多く見られるようになりました。カジュアル面談は企業と転職希望者が相互理解を進めるための情報交換の場として設定され、一般的に選考とは無関係といわれていますが、はたしてその実態は? カジュアル面談を選考に組み込む業界の傾向やNG行為、人事担当者に評価される質問などについて、日経HRの転職コンサルタント・本杉裕樹さんに聞きました。

遅刻にタメ語・・・カジュアル面談の気軽さに注意

――カジュアル面談とは何かについて教えてください。

「正式な面接は、企業が任せたい業務内容について、応募者がスキルや経験を持っているかどうかを確認することが中心です。一方のカジュアル面談は、転職希望者が業界や企業について詳しく知りたい、同じ部門で働くことになるかもしれない人たちと話をして会社の雰囲気を知りたい、といった正式な面接のやりとりだけでは分かりにくい情報を提供するために設定します」

「あらかじめ選考過程にカジュアル面談を設けている企業もありますが、多くは転職希望者が要望して設定してもらうものです。よくある形式はオンラインで1対1、時間は30分から1時間程度。企業側からどんな部門、ポジションの人が出てくるかは事前に知らされます」

「最近では、まだ転職を考えていない層に向けて、自社について良い印象を持ってもらい、将来転職を考えたときに候補として考えてもらう採用広報の色合いが強くなりました。中途採用の選考でも、新卒のようにオンライン説明会を設ける企業も現れています」

――基本的な流れと企業からの質問内容はどのような感じですか。

「まずは企業側から、企業理念や事業内容、業務範囲、職種のキャリアパスに関する話などがあります。場合によっては現場クラスの人が参加して、実際の仕事内容などを話すこともあります。そのあと、転職希望者について企業が任せようと考えている業務との親和性を計るため、これまでの経歴や今後は何を実現したいかといったキャリアの希望などの質問に移るパターンが多いです」

「転職希望者といっても、転職すると気持ちを固めて活動している転職顕在層もいれば、まだ転職する気はないが情報収集をしておきたいと考える転職潜在層もいます。選考初期段階のカジュアル面談にはいろいろな層がいるため、企業が転職理由、志望理由などを聞くことはほぼありません」

――カジュアル面談が多い業界、職種など、特定の傾向はありますか。

「業界や職種を限定せず幅広く導入されていますが、特に人材獲得競争が厳しいIT業界では盛んです。企業の採用サイトから直接カジュアル面談を申し込める企業もあるぐらいです」

――カジュアル面談を受ける場合、どのような準備をしておいたらいいでしょうか。

「経歴やキャリアの希望をたずねられることがあるので、まだ転職を考えていない人でも簡単にキャリアの棚卸しをしておくと良いでしょう。また、企業の事業領域、ビジネスモデルについて事前に企業サイトやIR情報などで確認しておくと、当日の説明をより具体的に理解することでき、こちらからする質問のクオリティーが上がります」

――カジュアル面談と選考は関係がありますか。NGな行為は。

「基本的に選考とは無関係です。しかし、それで気がゆるむのか、開始時間に遅刻する、『タメ語』を使う、前職の悪口を言う、といった態度をとる人がたまにいます。このような行為はビジネスマナー違反。ビジネスパーソンとしての常識がないと判断されて、選考(面接)では落ちてしまいます。内容は率直に話してもらって構いませんが、話し方や聞き方には丁寧さが必要です。ビジネスの場であることを忘れずに、ラフになりすぎない態度で基本的なビジネスマナーを守りましょう。服装や髪形は、ビジネスカジュアルであれば問題ありません」

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