英語人材育成はタレント育成 能力測って細かな研修を
英語コーチングスクール『TORAIZ(トライズ)』主宰 三木雄信
ビジネススキル「英語研修に課題を感じている」という企業は、多かれ少なかれグローバル化の影響を受けているはずです。英語研修を社員に対して実施する際、企業はグローバルな視点でタレント(=人材)をマネジメントしている、という意識を強く持つことが極めて重要になります。
日本企業のグローバル化、3つのパターン
実は、日本企業のグローバル化には3つのパターンがあります。パターン1からパターン3に向かってグローバル化が深化していきます。あなたの企業は、どのパターンに属するのか、是非考えてみてください。
パターン1は、本社で英語が必要とされる環境は、海外事業部門に限られるケースです。海外の取引先や工場などとのやり取りは、海外事業部門の担当者が中心的に担います。担当者は、海外に赴任したり出張したりして、本社の「窓口」として機能します。

パターン2は、海外企業のM&Aに伴い、海外子会社や投資先の幹部として日本人が赴任するパターンです。本社の組織は従来の日本人を中心とした組織のままです。当然ながら本社の公用語は日本語で英語環境は限定的です。しかし、海外子会社や投資先の幹部は英語環境で部下をマネジメントすることになります。銀行・証券・保険などの日本の金融機関の海外進出がこのパターンの代表です。
パターン3は、企業戦略として全社的なグローバル化を行い、本社の海外移転や経営層のグローバル化を実施しているパターンです。本社経営陣は、海外や日本を問わず本社傘下にある複数の会社から登用されています。本社も海外子会社や投資先も含めて英語環境です。日本語は、各国言語の一つとして日本で使われるのみです。先に紹介した日本のグローバル企業が当てはまるでしょう。
これらのパターンでそれぞれの環境に合わせて英語研修が行われています。
まず、パターン1の会社でよく見られるのは、英語については全社的にTOEIC L&Rの一定のスコア取得が自己啓発の一環として推奨されています。スピーキング力を含めた英語研修は、多くの場合、海外赴任の発令が出てから開始されます。海外赴任の発令が着任の3カ月前という短期間のケースも多く、各種手続きや転居の負担が重く、英語研修が十分に効果的に行えていない場合が多いものです。
次にパターン2ですが、経営企画部門を中心に将来の海外子会社の幹部を計画的に育成する視点が入ってきます。例えば、あるメガバンクでは、全ての社員のTOEIC L&RとVERSANTスピーキングテストのスコアを把握しています。この中から海外赴任予定者を選抜し、語学研修や海外留学などに6カ月から1年の単位で計画的に送り込んでいるようです。