英語研修に失敗する企業の3つの特徴 研修担当者必見
英語コーチングスクール『TORAIZ(トライズ)』主宰 三木雄信
ビジネススキル英語の悩みは各社共通
こうした悩みを抱えている企業での英語研修の状況を詳しくお聞きすると次のような3つの特徴があることがわかります。言い換えれば、英語研修に失敗する企業の3つの特徴と言えると思います。
①キャリアパスと結びついていない
今日では、英語力の重要性は多くの企業で認識され、階層別の昇進昇格の要件としてTOEIC L&Rなどの英語の資格やスコアが必要とされるケースも当たり前のようになっています。例えば、部長になるためにはTOEIC L&Rのスコアで800点が必要といった具合です。
しかし、基本的に国内の業務しか担当しない人材にとって、昇進昇格のインセンティブとして英語学習を目の前にぶら下げられても、困ってしまいますよね。
また、TOEIC L&Rの一定以上のスコアを持っていて海外赴任を任されるような人でも、残念な結果になってしまうこともあります。
多くの企業では、海外赴任の辞令が出るのが赴任の3カ月前であるようです。大抵の場合、赴任前研修で英会話スクールに通うように指示がでます。しかし、業務の引き継ぎや家族のこと、子どもや親のことなど数多くの課題を処理するのに追われて、満足に英語の学習時間を取ることができなかったりします。
やはりこれも、社員の英語の能力をキャリアに適切に結びつけようという、会社の方針がハッキリしていないことが原因なのです。
②英語研修のゴール設定と能力を測る尺度が不明確
先にも書いた通り英語研修を通じた学習のゴールがTOEIC L&Rとなっている企業が多いと思います。TOEIC L&Rは英語力の尺度として数値化され広く利用されている点は素晴らしいと思います。
しかし、尺度はあくまでも尺度でしかありません。尺度とゴールは違います。TOEIC L&Rで一定のスコアを取った先にどのようがゴールを設定するのかが重要です。ゴール設定が曖昧な企業が多いように思われます。
また、尺度そのものもきちんと吟味しなければなりません。ゴールに向かうのに、TOEIC L&Rという尺度で本当によいのかも考える必要があります。
例えば、スピーキング能力を重視するのであれば、イギリスの教育大手ピアソン社が全世界向けに販売している英語のスピーキングテストVERSANTのほうがTOEIC L&Rよりもより適している面があります。
ちなみにVERSANTは20点〜80点で評価され、日本人の平均は38点(2018ピアソン調べ)です。英語でビジネスをするには、47点以上を目指すとよいとされています。

このチャートは、トライズの受講生のVERSANT※とTOEIC L&Rのスコアの相関を示したものです。
チャートからいくつか興味深いことがわかります。例えばVERSANTのスコア(縦軸)が40点台後半であってもTOEIC L&R(横軸) が500点から700点の人がいること、またTOEIC L&Rのスコアが800点以上であってもVERSANTスコアが30点台の人がいるということです。