変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

統計的にはR2が0.3827なので相関はありますが、強い相関があるとは言えないレベルです。それは、VERSANTとTOEIC L&Rがはかっているものが違うということです。適切な尺度を選ぶことの重要性が分かるかと思います。

③研修プログラムが画一的

ゴール設定が不明確であると、英語の研修プログラムも画一的になり、学習者のやる気を失わせているケースをよく目にします。

英語研修は社外の語学学校からプログラムを購入して行うことが多いものです。すると、例えば「海外赴任者コース」「ビジネス英会話 中上級」などの既成のプログラムの中からなるべく社員の状況に合ったものを選ぶことになります。

確かに、英語学校の既成のプログラムには優れた面があります。例えば、職場や自宅の近くのどのスクールにいつでも好きな時に行っても受講できる点は魅力です。「海外赴任者コース」「ビジネス英会話 中上級」などプログラムが標準化されており、どのスクールでも研修を受けた講師による均一なサービスが受けられます。

しかし、逆にいえば学習者自身からすれば自分自身の業務に関係のない学習内容が多くなってしまい、やる気を継続しにくい面は否めません。

例えば読者の皆さんも自分自身の業務に関する専門用語であれば、比較的楽に覚えることができると思います。働いている人にとって、自分とは異なる分野の、普段から使っていない用語は、日本語でも英語でも頭に入りにくいですよね。やはり、1人1人の学習者のニーズが異なっているのに画一的な研修を提供しても、英語研修としての効果は期待通りにはなかなかいかないと私は考えています。

さて、ここまで英語研修に失敗する企業の3つの特徴を見てきました。この連載では、次回以降、アメリカでは一般的になっている研修についての方法論であるインストラクショナルデザインと英語学習についての科学的なアプローチである第2言語習得論も踏まえて、日本企業の英語研修がリスキリングの観点からどうあるべきかを研修担当者の方に役立つように提供していきたいと思っています。

三木 雄信(みき たけのぶ)
英語コーチングスクール『TORAIZ(トライズ)』主宰、一般社団法人日本英語コーチング協会(略称JELCA)代表理事。1972年福岡生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱地所を経てソフトバンクに入社。2000年、ソフトバンク社長室長。2015年に英語コーチング・プログラム『TORAIZ(トライズ)』を開始。日本の英語教育を抜本的に変え、グローバルな活躍ができる人材の育成を目指している。主な著書に『海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』(PHP研究所)『超高速 PDCA英語術』(日本経済新聞出版)『ムダな努力を一切しない最速独学術』(PHP研究所)『【新書版】孫社長にたたきこまれた「数値化」仕事術』(PHP研究所)など。

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