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次世代リーダー転職は、ポスト加熱市場で本質回帰する

いよいよ出口が見えてきた感のある新型コロナウイルスのまん延。ポスト・コロナに向けての次世代リーダーの転職はどうなるでしょう?

コロナ禍の中でも活況だった幹部クラスの転職市場。そのど真ん中で日々、幹部転職・幹部採用の支援に当たっている私として、感じている危惧があります。それは、幹部クラスの「若年型転職化」です。

ちょっと言葉は悪くて恐縮ですが、"いい年をした"幹部クラスの方々が、短期的な年収条件や役職などのスペック条件に左右される。明確な意思を持たないまま複数社の選考をベルトコンベヤー的に受けて、いざ内定が出てからどうするかを考える。これからのご自身のキャリア方向性やテーマの軸が曖昧。自分がどうしていきたいかではなく、会社が自分に何をしてくれるかありき……。

相応の社会人経験を積み、責任ある立場を経験してきている人たちの幼稚化は、日本における企業経営・事業マネジメント・組織マネジメントの幼稚化に通じると痛切に感じます。

世界がコロナの出口に向かう一方で、IT業界の市場成長に対して逆風が吹き、ロシア・ウクライナ戦争も長期化するなど、世界経済に暗い影がさしはじめています。過熱気味の転職市場も、ここから引き締めモードが出てくると思います。

これは幹部転職という観点では、朗報・福音にもなると感じています。なぜなら、これまでの売り手市場から買い手市場へと潮目が変わることで、「うわべの条件争い」から脱して、本質的な職務期待値やパーパス・ビジョン・事業への真の共鳴軸に、採用選考ポイントの重点がぐっと移ることになるだろうと思われるからです。

心ある企業各社も、本来、上記のような本質軸を貫き通した幹部採用をされたいと思いながら、環境要因で一部不本意なスペック対応、転職候補者側の私的要求に合わせざるを得ないようなことも折々発生していたでしょう。しかしここからは、いよいよオトナ度の高い転職活動を求めることができる、オトナ度の高い幹部だけが採用される。そんな状態は、もう目の前に来ていると感じます。

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不透明な時代と言われていても、世の中は確実に進化し良くなっています。私たちはコロナの2年で、コロナ前には検証や実行ができなかった多くのことを体験し、多くの「ニュー・ノーマル」を学びました。「不易流行」と言いますが、いつまでも変わらないものの中に新しい変化を取り入れること、新しさを求めて変化し続けることの大切さを、これほどまざまざと体感することは、コロナがなかったらできなかったでしょう。

原理原則に忠実に、その上で既成概念にとらわれず大胆に。そんな行動ができるリーダーが、そんなスタイルの転職が、ここからの皆さんの良きキャリアを創り、そんなリーダーの皆さんこそが、次の時代を創るのだと私は確信しています。そのための黒子として、私自身も日々新たに次世代リーダーの皆さんとともにチャレンジし続けていきたいと思います。

井上和幸
経営者JP 代表取締役社長・CEO。1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。https://www.keieisha.jp/ 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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