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仕事を続けながら上手に学ぶ方法とは?

社会人が学び直しをしようと思っても、「時間」と「お金」と「距離」という3つの壁が立ちはだかるといわれています。しかし、新型コロナウイルス禍による在宅勤務の拡大に伴い、通勤時間の短縮で余裕が生まれました。同時に家庭内のICT(情報通信技術)環境が整ったことにより、学校に通わずともオンラインで学べるようになりました。これらのおかげで、「時間」と「距離」という2つの阻害要因が解消され、実際に学び始めた社会人は増えているといいます。あとは将来の自分への投資として、どこまで「お金」を使うかの覚悟を決めるだけとなります。

では、適切な投資回収をめざして覚悟を決めたとして、具体的にどんな方法で学べばいいのでしょうか?

社会人が学び直す際には、社会人大学院や通信制大学のほか、民間のスキルアップスクールやセミナー、講演、資格取得のための通信講座、それ以外にも書籍やネット、アプリを使った独学など、様々な方法があります。しかし、独学の場合は自分で自分を律することができる強い意志が必要になるので、教員によるフォロー体制や同級生との交流の機会でモチベーションを維持しやすくなる社会人大学院や通信制大学を利用する人が増えています。

多忙なビジネスパーソンでも比較的活用しやすい方法といわれているのが「科目等履修制度」「履修証明プログラム」「通信制大学」の3つです。

(1)科目等履修制度

社会人が大学・大学院で学ぶ機会を拡大させる目的で設けられた制度。大学・大学院に正規入学せずとも、正規課程の科目をオンラインや対面授業で履修できます。科目数は1科目から可能という場合が多く、興味があるテーマだけをピンポイントで学ぶことが可能。1科目履修したら、次の学期にもう1科目という具合に、ピンポイント利用を続けてスキルアップを図ることもできるので、時間に制約のあるビジネスパーソンに人気があります。

(2)履修証明プログラム

大学や大学院が社会人を対象にした学習プログラムを開設し、その修了者に対して履修証明書を交付するというもの。プログラム全体の時間は60時間以上で、半年から1年程度のプログラムが一般的。対面授業とオンライン授業を組み合わせて3カ月程度の短期集中プログラムを設けている機関もあります。学びたい分野に関する知識を、体系的に身につけられるので、「社会人大学院などへの正規入学はハードルが高い」と感じる社会人に活用されています。なお、履修証明は履歴書に記載することも可能です。

(3)通信制大学

テキストやメディアなどを通じた通信教育が中心で、時間の拘束が少ないのが特徴。もちろん卒業すれば学位を取得できる正規の大学です。出勤前や帰宅後、通勤途中などのすきま時間を活用できるので、限られた時間を有効に使いたい社会人に適しています。通信教育だけでなく、一部、リアルでのスクーリング(対面授業)の機会が設けられていることが多く、教員や同級生と交流することもできます。入試がなく、書類選考のみで入学可能。社会人大学院に比べて学費が4分の1程度と比較的安価なこともメリットです。

以前に比べると、多忙なビジネスパーソンでもかなり気軽に、かつ効率的に学び直しができる環境が整備されていることが分かると思います。これらの機会を活用するかどうかは、自分の気持ち次第。本気でこの先の長期キャリアを考えるなら、何らかの具体的行動をスタートさせることをお勧めします。自分の市場価値を維持し、さらに高めるために。ぜひこの機会にじっくり考えてみてほしいと思います。

黒田真行
 ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。2019年、中高年のキャリア相談プラットフォーム「Can Will」開設。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』、ほか。「Career Release40」 http://lucentdoors.co.jp/cr40/ 「Can Will」 https://canwill.jp/

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