会社選びの座標軸示す 9つの視点で企業をマッピング
八重洲ブックセンター本店
ビジネス書・今週の平台3つの軸・9つの視点で企業・業種・職種を分類
著者のいう9つの視点とは、仕事軸の「やりがい」「キャリア」、生活軸の「負荷」「勤務環境」「人間関係」、対価軸の「報酬」「カーブ・分布」「査定・評価」「雇用」だ。それぞれの望ましい状態と望ましくない状態が視点ごとに2~7つの項目で示され、個別企業や職種・業種がマッピングされていく。こうした視点ごとのマッピングを解説する形で、具体的な個々の企業での働き方の実態が働く個人への取材から浮かび上がってくる。定番の業界研究ムックでは描けない業界地図が本書にはある。
どの視点が自分の会社選びで欠かせないのか。勤務時間か、スキルアップの可能性か、雇用の安定性なのか。自分の仕事観、生活観に合わせて気になる視点を扱った章を読んでみる、というのが本書の基本的な読み方だ。著者も事典的な使い方でOKと言っている。
よりわかりやすく実用的にするため「計12の条件と、その条件を満たすための計37の基準」も提示されている。条件は「勤務地を選べて家庭生活と両立できるか」など視点より具体的な問いになっており、その条件を満たす基準の方も「リモートワークも選択できる」「女性が子育てと両立しつつ出世も目指せる」といった身近な感覚で分かる具体的な形で示されているから、基準を頼りに拾い読みしてみてもいい。
「仕事選び、会社探しのニーズはいつもの時期も高い。分厚い本なのによく売れている」とビジネス書を担当する川原敏治さんは話す。著者は「いちばん手に取っていただきたいのは、高校生・大学生とその親御さん、進路指導を行うキャリアカウンセラーの方々」と言っている。
『不動産DX 未来の仕事図鑑』が1位
それでは、先週のランキングを見ていこう。
1位の『不動産DX 未来の仕事図鑑』は、不動産業界がどのように変革するかを示し、これからの業界に必要なスキルセット・人材像を示す。著者は不動産テック企業を率いる起業家だ。ソーシャルビジネスコミュニティーを主宰する投資家・起業家によるリーダー論『うまくいくリーダーだけが知っていること』が2位に入った。3位の『「会社四季報」業界地図 2023年版』は定番の業界研究ムック、4位の『コミュニケーション大全』は人気のユーチューブ講演家がコミュニケーションの極意を説いた本だ。大前研一氏が毎年年末に出す予測本の最新版『日本の論点 2023~24』が5位だった。今回紹介した会社選びの座標軸を示した本は12位だった。
(水柿武志)