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ESGへの対応に熱視線

利益指標や配当とともに近年、投資家が注目しているものにESGがあります。コーポレートガバナンスや気候変動、多様性などに積極的に取り組む企業を評価し、投資先として重視する考え方です。こうした「非財務指標」への対応は企業、投資家の双方が、高い関心を示していることを、あるアンケート結果をもとに解説しています。ただ、ESGに関する企業の情報開示についてはまだ課題があると指摘し、「(ESGへの自社の取り組みの情報について)十分開示している」との回答が企業は3割ほどあったのに対し投資家は3%しかなく、認識に大きな差があるとも述べています。

近年、気候変動に伴う災害、被害などは国内外を問わずその頻度も規模も増大しています。
これによる企業活動への影響も強くなってきています。身近な商品でいえば、2017年に北海道では日照不足と長雨でジャガイモの生育が遅れ、カルビーが大きな打撃を受けたことは「ポテチショック」と呼ばれ注目されましたが、これも気候変動の影響です。大雨や洪水でサプライチェーンが寸断される被害もよく起こります。
こうした変化を背景に投資家は企業の気候変動リスクに強い関心を持つようになってきており、気候変動リスクの把握・評価は数あるESG課題の中でも最も重要なテーマと企業にも投資家にも認識されるようになっているのです。
(第6章 ESG・非財務のインパクト 気候変動リスク開示とは? 義務化されるの? 204ページ)

本書は、決算書の読み解き方を指南する一方、ESGのような財務情報とは一見、無関係なように見えるテーマも扱っているのがユニークな点です。企業の情報開示のあり方を含め、これからの企業の成長を考える上で、ぜひとも参考になる一冊です。

◆編集者のひとこと 日本経済新聞出版・雨宮百子

長谷川さんの書籍は、私が編集者の仕事をはじめてから最初にかかわったなかの1つです。お付き合いとしてはもう6年以上になります。そのなかで『ヤバい決算書』にはじまり、多くの書籍をご一緒させていただきました。

初期のころは、私は決算書の知識があまりありませんでしたが、長谷川さんの書籍を編集しながら、数字の面白さに引き込まれていきました。今回は、2色刷りにし、これまでよりいっそう見やすくなっています。さらに、基礎知識を習得した人がさらにステップアップできる作りになっています。意外な「新常識」に驚くこともあるはずです。ぜひ手にとってみてください。

一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ出版社の編集者が20~30代のリーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。

テキストには書いていない 決算書の新常識

著者 : 長谷川 正人
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 2,200 円(税込み)

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