AI時代と向き合うには 基本知識の習得は不可欠
リンクトイン日本代表 村上臣氏(7)
ビジネスの視点
村上臣 リンクトイン日本代表
新型コロナウイルスの感染が続く中、人工知能(AI)技術のニーズは一段と高まっています。データを解析して迅速に自動処理し、労働力不足を補う必要性はどの職場でも求められています。ビジネス向けSNS(交流サイト)を展開する米リンクトインの日本代表の村上臣氏に、AI時代の働き方について聞きました。
世界共通語はプログラミング言語?
「Java(ジャバ)で語り合おう」。これは米シリコンバレーのジョークみたいなものですが、以前、米国人エンジニアと仕事をしたときにこんな会話をした経験があります。私もそうですが、日本人は英語が下手で、思うようにコミュニケーションが取れないときがあります。しかし、エンジニア同士なら、ジャバというシリコンバレー生まれの共通のプログラミング言語があるわけです。英語が通じなくても、ジャバをファーストランゲージにして米国人エンジニアと語り合えます。楽天グループの三木谷浩史会長兼社長も以前、「英語の次の公用語はジャバだ」と語り、話題になっていたと思います。
「いや、自分は文系人間でプログラム言語なんてとても書けない」という人も多いかもしれません。確かにエンジニア以外の人が複雑なコードを覚えたり、書けたりする必要はないと思います。しかし、コンピューターの基本的な仕組みというか、どのような命令手順で動いているのかといったプログラミングの思考法は理解しておく必要があります。いま大半の企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応に迫られていると思いますが、エンジニア任せでは事業の変革などできません。
私は2011年、ヤフーをいったん辞めたとき、多くの経営者から「エンジニアとどう付き合ったらいいのか分からない」との依頼を受け、プログラミングスクールを開いたことがありました。投資家の千葉功太郎さんや起業家など100人以上が集まり、プログラミングの基本的な考え方を手ほどきしました。