転職先を喜ばせる幹部の共通点 ミスマッチ避ける心得
経営者JP社長 井上和幸
次世代リーダーの転職学外部から幹部を迎え入れる会社は、日本においても当たり前になりました。各社で幹部採用が増えるにつれて、「来てくれて助かった」という声と、「期待外れだ」という声が二極化。幹部として転職する側としては、当然喜ばれることを前提にご自身の入社を考えているわけですが、必ずしもそうなっていない事実も少なくないようです。せっかく転職入社して、「がっかり」「期待はずれ」とは言われたくないもの。さて、「採用損」と「採用得」の分かれ目はどこにあるのでしょうか。
幹部を採用した企業から聞こえてくる「がっかりした」の声。実際に、どのようなものが多いかと言いますと、期待はずれの3大特徴は「期待した職務成果が出せない」「期待した組織強化・活性化をしてくれない」「期待したコミットがない」に集約されます。
1)期待した職務成果が出てこない
面接であれだけ確認したのに、いざ、着任してみたところ、事前に期待していたような取り組みやマネジメントができず(と企業側、現場から思われてしまい)、困ったとなってしまって、役割を変更せざるを得なくなってしまったり、ポジションや給与レンジを変更(降格)しなければならくなったり。最悪の場合、そのまま職務を続行することが難しくなるケース(合意の上での退職、あるいは会社都合退職)と、当人にとっても企業にとっても残念な成り行きが散見されます。
なぜこのようなことが起きるのか。経歴を盛っていた(詐称?)などというケースもありますが、その多くは「職務難易度についての企業側と転職者側の認識違い」か、「異なる環境での適性ミスマッチ」です。

迎えて喜ばれる幹部には共通点がある(写真はイメージ) =PIXTA
この2つを面接でパーフェクトに回避することはなかなか難しいですが、転職者側の皆さんには、なるべく客観的かつ悲観的に転職先企業が期待する職務について捉えるようにする(「まあ、なんとかなるだろう」と思いすぎないようにする)。言語化は難しいものの、転職先の風土や職務の進め方についてしっかり確認し、それが自分のタイプやスタイルと合うのか確認するように努めましょう。
当然のことながら、選考に受からんがために、面接時にやったことがないことをあると言ったり、できないことをできますと言ったりとオーバープレゼンテーションをするなどは、絶対にやめましょうね。
2)期待した組織強化・活性化に貢献してくれない
幹部の皆さんに期待することは、個人としての業務執行のみならず、お任せする組織・チームの強化であり、活性化です。
ところが、ときにこの逆の行動をしてしまう方もいるようです。「俺が教えてやる」というようなスタンスや「出羽守」と言われる「前の会社では」を押し付けるようなやり方は、組織融和の観点からも、またそもそもそのご自身の認識が必ずしも正しいわけではないということも含めて、くれぐれも留意したいところです。
「俺が俺が」で組織やメンバーたちとの関係性をクラッシュしてしまうのは最悪の「迷惑転職者」になってしまいますし、逆に気を使いすぎて何も変化を起こせない幹部も周囲から見て頼りなく、「困った転職者」になってしまいます。
オープンなコミュニケーションを心がけ、周囲から情報を得、学び、その上でアサーティブにご自身の考えや提案を明解に話す。そもそもあなた自身に、「良い組織、良いチームにしたい」という強い情熱があることが欠かせません。