変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

紙とハンコ文化が根強かった日本の法曹界でも、テクノロジーの活用が広がってきた。「リーガルテック」と呼ばれるこの分野ではスタートアップがしのぎを削る。中でも急成長を遂げているのが、人工知能(AI)を活用した契約書の審査・管理システムを提供するLegalOn Technologies(リーガルオンテクノロジーズ、東京・江東)だ。同社の法務開発で活躍する今野悠樹さんは、リスキリングしながら従来の弁護士とは異なる新しいキャリアを切り開いてきた。

「弁護士」というと、法律事務所に所属し民事事件の紛争解決や刑事事件の弁護をしているイメージが強いが、現在、今野さんが手掛けているのは「法務開発」。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代ならではの新しい仕事だ。

開発しているのは、リーガルオンテクノロジーズが提供する「LegalForce(リーガルフォース)」というプラットフォーム。契約書を読み込ませると、ものの数秒で一般的にリスクとなりうる項目やその解説、サンプル文例を提示し、人間の目では見落としがちな抜け・漏れもチェック。ユーザーの契約書レビューを支援する仕組みだ。企業の法務部や法律事務所が顧客で、現在、導入企業は2500社以上に及ぶ。

2021年に入社した今野さんは、法律の専門知識とIT(情報技術)のリテラシーを生かし、契約書のレビュー後に表示するコンテンツや、「LegalForce」で提供する契約書ひな型の企画・監修をするのが主な仕事だ。

キャリアのスタートはヤフーの企業内弁護士

今野さんのキャリアパスは、従来の弁護士とは随分違う。

司法試験合格後にまず門をたたいたのは、IT大手のヤフー。いわゆる「企業内弁護士」だが、その数は全国で2965人(2022年6月時点)と弁護士登録者全体の6.7%にすぎない。近年、増えてはいるものの、今野さんが働き始めた頃は今よりもっと少数派だった。

「ファーストキャリアが企業内弁護士だというと、『どこの法律事務所からも内定がもらえなかったの?』と疑われるくらい珍しかったですね。ただヤフーは、当時から日本一企業内弁護士を雇っている会社だったんです。デジタルという新しい領域は法律の整備が追いついていないので、ヤフーは率先して立法・行政府に政策提言をするなど、ルール作りに関わっていこうとしていた。僕自身も、例えば障害を持つ人が政治参加しやすくなるようにインターネット投票を可能にするとか、デジタルの力を社会課題の解決に生かしていくことに興味がありました」

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