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マッキンゼー出身である安宅和人氏の 『イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」』(英治出版)は、「答えが出る問い」と「答えが出ない問い」を分けましょう、というところから話が始まる。答えが出ない問いについて考えることは、考えている「フリ」をすることで問題の解決にならない。まさに既述のように、抽象度の高い言葉でどうどう巡りをしている状況であろう。

本書ではさらに、「解ける問い」の中で「いい」問いとは何かという点が、3つの視点で語られている。①数ある問いの候補の中で、今後の会社の行く末に大きく影響する問いであるか②常識にとらわれない深い仮説があるか③答えが出せるのか―-の3つだ。

筆者が思うに、この3つをクリアするのはなかなか至難の業だ。特に①は本書でも示されているように、会社の置かれている状況や役職・立場によって変わるし、そして何よりも③解ける問いであるかという点をどう判断していいかが分かりにくい。

本書で例示されている解けない問いの例は、「3~8社くらいまでの企業数で市場の大半を占めている場合、商品の値付けはどうすべきか」というもので、世の中によくある状況だが答えの出し方が分からないものの典型例だそうだ。このような問いは、答えがないので取り組んではいけない。

こう聞かされると多くの人は当惑するであろう。「うーん。難しくて自分にはできなそうだ」と。

筆者が考えるに、実は「問い=イシュー」から考えるためには、それ相応の事前の知識が必要だ。③の「解ける問いかどうか?」は、既述の例であれば、価格分析の過去のケースを知らなくては分からない。①も何が重要かを判断するには、似たような状況の会社の過去のケースが考えるとっかかりになる。イシューを作るには、まず世の中にある過去の類似ケースを知っていなくてはいけない。

もちろん本書でも、この点は真摯に語られている。「いいイシュー」であるかは、「その領域によほど詳しくない限り分からない」のだ。また詳しい人に聞くだけでなく、自ら現場に出向いて1次情報をしっかりと見極めないと、表面的な分析で終わってしまうことも述べられている。

知るためには聞くしかない、思考はその後

やはり過去の類似ケースと現場理解がない領域について、どんなにホワイトボードの前に立って考えてみたところで、大した問いも、問いに対する仮説も出てこない。

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