変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

未来を予想するための要素

はっきりと意思決定するために大切なことは、このままの延長で仕事を続けていった場合の未来予想図を、主観や思い込みを排除して考えてみることです。

予想するための要素としては、次のようなものがあります。

・業界の発展動向

・会社の成長動向

・職種の需要動向

・自分の能力の開発可能性

・自分のモチベーションの活性動向

これらを総合的に判断したとき、このままの状態を続けた場合に右肩上がりなのか、逆にどうがんばっても右肩下がりになるのか。5年後、10年後という単位で現実的なシミュレーションをしてみてください。そうやってできた未来予想図をもとに、自分がそこに残り続けるほうがいいのか、逆にキャリアチェンジをしたほうがいいのかの覚悟を決めていく方法です。

ちなみに未来のシミュレーションに関しては、個人ごとの思考の癖が出やすいので、楽観と悲観の2種類のシナリオを作り、両方の真ん中を妥当ラインと考えるようにすることをお勧めします。

もし、現在の延長線上に残り続けることが難しいと考えた場合は、年齢が上がれば上がるだけ、身体的にも精神的にも負担が大きくなることを考え合わせると、行動は早いにこしたことはありません。40歳からの判断基準は、あらゆることが「善は急げ」なのです。

自分の中の常識を徹底的に疑う

40代以降の自分のキャリアを、現在の延長線上ではなく、何らかのアクションを起こして変化させていくことが必要だと意思決定したら、いよいよ行動計画の立案と実行に入ります。その際、円滑な計画と実行を邪魔するのは、過去の「成功体験」や「失敗体験」が積み重なってできた「自分の中の常識の枠組み=認知バイアス」です。これが選択肢の過剰な排除や食わず嫌いを生み、多くの人から選択肢を奪ってしまう傾向があります。

反射的に発生する認知バイアスには、以下のようなものがあります。

・未経験ゾーンを反射的に嫌悪して排除するパターン

「これまでやってきた業界でしか通用しないのでは」

「経験のない職種なんか今さらゼロからやるのは無理」

「この年齢で転職しても条件が悪くなるだけだろう」

「自分は絶対に起業には向いていない」

「フリーランスみたいに何の保障もない働き方はしたくない」

・自分の都合や好き嫌いを優先してしまうパターン

「今さら現場はしんどい。人材を育成する側に回りたい」

「経験を生かして経営にかかわりたい」

「もともと興味のあった業界にチャレンジしたい」

今後の選択肢を検討する段階で、これらの「思い込み」や「自分が常識だと思っていること」をいかに排除して、「自分の残りの仕事人生を充実したものにする」ことだけに立脚した選択肢を洗い出せるかどうかが、キャリア戦略立案の成否を分ける最大のポイントだと言っても過言ではありません。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック