転職か?残留か? 40歳からの判断基準は「善は急げ」
ミドル世代専門の転職コンサルタント 黒田真行
次世代リーダーの転職学自分の「商品性」を分解して売り方を模索する
次に着手してほしいのが、自分自身の経験や手持ちのスキル、過去の成功体験から得たノウハウ、そもそもの仕事観や価値観など、自分自身を構成する要素をすべてバラバラに分解して、売り物になるパーツを見きわめていく作業です。パーツを分解したら、次は、社会から見た需要の確認です。
自分の中で売り物になりそうなパーツを起点にするのではなく、現時点の社会での能力やスキルの需要を調査して、需要にはまりそうなパーツを探り出していくという手順で、自分自身の「商品性」を確認していきます。
この時点では、「社員としての転職」「起業」「フリーランス」「顧問」などの、「自分を売るパッケージ形態」はいっさい考える必要はありません。むしろ、この段階でそんな表層的なことにとらわれているとすれば、まだ認知バイアスから抜け切れていない証拠です。
また、商品性を確認する際には、業界や職種の経験年数や、役職などの一般的なものさし以外に、下記のような「能力」「スキル」「取り組み姿勢」などの特徴も視界に入れて、自分の強みや商品性を確認してみてください。この時、自分の強みをピックアップしながら、できるだけそれを証明する過去のエピソードとひもづけておくと、後々、職務経歴書(セルフプロモーション)をまとめる際などに役に立ちます。
●自分の中の商品性を分解する際の視点例
・課題発見力
・課題設定力
・課題解決力
・企画発案力
・計画立案力
・実務遂行力
・変化対応力
・社外対応力(社会・株主)
・社外対応力(顧客)
・社外対応力(協力会社)
・社内対応力(上司)
・社内対応力(組織間)
・社内対応力(部下)
上記のような流れで、自分の意思決定や強み・弱みを分析した上で、最終的にどんな相手が自分のスキルを必要としていそうかの仮説を立て、実際に売り込みを仕掛けていくという流れになります。
この段階でも、雇用契約か、顧問契約か、個人事業主か、あるいは1社だけへの売り込みなのか、複数の企業と契約をしていくのかということも、幅を持って考えておいたほうが交渉は進めやすくなります。まずはぜひ一度、フラットに検討してみてください。もし一人では難しい場合は、友人や転職エージェント、キャリアコンサルタントの有資格者などに相談に乗ってもらうと、よりスムーズに考えられるかもしれません。
大切なことは、会社に留まるか、転職するか、起業するかという外形的なことではなく、いかに「自分の残りの仕事人生を充実したものにする」かという1点です。ぜひ納得感のある未来を自らつかんでほしいと思います。
