本気のプロチームを組織 リノベに生きたラグビー思考
リノベる社長 山下智弘氏(下)
キャリアの原点いろいろなプロがどれだけ本気で関わり合えるか
中高大とラグビーに熱中した山下氏は、リノベるの経営とラグビーには共通点があるという。
「ラグビーは体格の違う人、いろんな個性の人が集まりそれぞれの特徴を生かしながら戦います。激しい体のぶつかり合いで事故のリスクもあるので、常に本気であることが求められるし、本気の関係性があってこそ初めてチームとして成り立ちます。リノベるも不動産、設計、金融、施工、資材調達、インテリアなどそれぞれのプロがどれだけ本気で関わり合えるかでアウトプットの精度が変わってきます。関わる人が多い分だけ想定外のことも起きますが、常にプランAがうまくいかなかったときに備えてプランB、C、Dまで考えておく必要がある。これもラグビーと同じです」
28歳で個人事務所を立ち上げ、30歳で法人化して以降、「本気になるために一番大事なものを捨てよう」と、それまで所属していたラグビーのクラブチームも辞め、スパイクも捨てた。
40歳になったとき、再びラグビーへの思いが高まり、趣味のつもりで始めたタッチラグビーで日本代表に選ばれるまでになった。それが仕事にも好影響を与えているという。

起業後40歳でタッチラグビーを始め、2019年のW杯に日本代表として出場。フランス代表との3位決定戦で起死回生の同点トライを決めた
「以前は365日24時間スイッチを切っちゃだめだと自分を追い込んでいました。でも、タッチラグビーの練習はめちゃくちゃつらい。つら過ぎてスマホも見られないし、チャットもできない。スイッチを切らざるを得ないんです。でもそれがかえってよかった。帰りの車では頭がスカッとして再起動するような感覚があり、スイッチを切ることの大切さを知りました」
今後の目標を問うと「世界に出ていく」と即答した。リノベるのミッションである「日本の暮らしを、世界で一番、賢く素敵に」を追求しつつ、日本の職人の高い技術とジャパニーズ・クオリティーを世界に広めるという野望を抱く。個人的な目標は、タッチラグビーW杯の日本代表であり続けることだ。23年のW杯は49歳、27年は53歳。仕事も競技も挑戦は終わらない。
(ライター 石臥薫子)