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装置や材料まで詳細に技術を解説

ディテールにズームインしていく2章以降は、技術的関心が強くないと読むのに骨が折れるだろう。1000ステップに及ぶ製造工程に沿って装置業界や材料業界が整理され、垂直統合型の半導体メーカーから受託製造するTSMCのようなファウンドリー、電子設計するハードやソフトを提供するEDAベンダー、英アームのようなアーキテクチャーを設計しライセンスするIPプロバイダーといったさまざまな業態が解説される。さらに、半導体そのものの働き、用途、今後開発・実用化される方向性に至るまで図や表を折り込んだ詳細な技術的解説が続いていく。

「半導体関連の本が2冊、相次いで入荷したので併せて同じコーナーに置いている。それもあってか売れゆきがいい」とビジネス書を担当する早川豊弘さんは話す。もう1冊は半導体産業の歴史を「世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防」として活写した米経済史家によるノンフィクション『半導体戦争』だ。2冊は同じ版元の本で、併せて読めば物語的な攻防史を技術・業界的な側面から補足するような読み方ができる。日本の新聞記者が地政学的視点から読み解いた2021年刊の『2030 半導体の地政学』も同じコーナーに並んでおり、ここまで読めば半導体産業への理解がかなり立体的になりそうだ。

『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』が2位

それでは、同店ビジネス書の最新ランキングを見ていこう。

(1)新世代オープンイノベーション JR東日本の挑戦入江洋・原田裕介著(日経BP)
(2)コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト高松智史著(ソシム)
(3)キーエンス解剖西岡杏著(日経BP)
(4)半導体産業のすべて菊地正典著(ダイヤモンド社)
(5)第4の波 大前流「21世紀型経済理論」大前研一著(小学館)

(丸善丸の内本店、2023年3月2~8日)

1位の『新世代オープンイノベーション JR東日本の挑戦』はJR東日本が社会課題解決に向け「モビリティ変革コンソーシアム」を通じて取り組んだイノベーション創出活動をまとめたものだ。本欄の記事〈コンサル「最初の3年間」の技術と作法 99にまとめ解説〉で紹介した『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』が2位、同じく本欄の記事〈キーエンスの強さの秘密に迫る 仕組みと風土を解剖〉で紹介した『キーエンス解剖』が3位に入った。今回紹介した『半導体産業のすべて』は4位だった。5位には大前研一氏の新著『第4の波 大前流「21世紀型経済理論」』が入った。

(水柿武志)

半導体産業のすべて 世界の先端企業から日本メーカーの展望まで

著者 : 菊地 正典
出版 : ダイヤモンド社
価格 : 2,200 円(税込み)

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