ワークマン年収百万UP宣言のその後 コミュ力低めでもデータで評価爆上がり
リスキリングで年収UP
AI時代に求められる人材になりたい、キャリアや働き方の幅を広げたい――。リスキリングに励む理由は人それぞれだ。でも時間やコストをかけ頑張ったところで、結局年収アップに結びつくの?というのは、多くの人が気になるところだろう。そこで当企画「リスキリングで年収UP」では、リスキリングが年収アップに結びついている会社や個人を徹底取材。そこにはどんな仕組みや考え方があるのかを探っていく。
初回で取り上げるのは、急成長企業ワークマン(本社・群馬県)。もともと高機能・低価格の「作業服」で知られた同社は近年、「ワークマンプラス」や「#ワークマン女子」など新しい業態で若者や女性などの取り込みに成功、業績を伸ばしてきた。その要因となっているのが社員のリスキリングだ。
さらに「社員全員がエクセルを使いこなし、データ活用ができるようになる」というリスキリング目標を掲げ、平均年収を5年で560万円から100万円上げると宣言。実現させた後も年収アップは続き、現在は平均750万円にまで伸びている。
なぜ、こうしたことが可能なのか。同社の土屋哲雄専務がインタビューで語ったリスキリングと年収の関係、さらに今注力しているAIリスキリングと次なる年収目標について前編、後編でお伝えする。(後編『ワークマン「エクセル経営」の次 家庭教師雇って本気で平均年収1000万円へ』はこちらから)
活性化していない社員2割をどうする
――2014年に「全社員でエクセル経営、データ活用」という目標を掲げると同時に年収100万円アップを宣言しました。どういう判断だったのでしょうか。
私が30年以上務めた商社をやめてワークマンに入ったのが2012年。当時、社員の平均年収は560万円くらいでした。人材の質は、私が在職したことのある商社の子会社と比べて全く遜色ないどころか高いと思ったんですが、年収ははるかに低かった。これを是正するために100万円のベースアップを宣言しました。
当時、社内には活性化していない人材が約2割いました。正直、部下より明らかに能力が劣る上司も多かった。でも、データ活用教育によって彼らがスキルを獲得し、会社に貢献しない「冗員」がゼロになれば、給料を上げる原資ができるはずだと考えました。2割生産性がアップするなら平均年収のだいたい2割、つまり100万円は十分上げられると確信したんです。
経営側の「年収上げる」という覚悟
――リスキリングによる業績アップという結果が出るより先に、年収アップを約束するのは、経営者として相当覚悟がいったのでは?
普通は業績が上がってから、と考えますよね。でも、新規事業にせよ経営改革にせよ、社員に負担を強いるのなら、それに見合う報酬は絶対に必要です。そして賃上げというのは、先にコミット(結果を約束)した方が都合がいいんです。成果を出せば給与に必ず跳ね返ると思えば、社員にとって「自分ごと」になりますから。
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