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日本の賞与制度は6~8月にかけての夏季賞与と、おおむね12月に支給される冬季賞与に分かれます。これらはそれぞれ、対応する半期ごとの業績評価を反映します。たとえば3月決算の会社なら、4月~9月の業績を10月に評価し、12月の賞与に反映します。夏の賞与は10月~3月の業績を4月に評価し反映します。

ただし個人の評価だけでなく、そもそも会社がもうかっていないと支払われないのが賞与です。給与の〇カ月分、とよく言われますが、会社の業績が良ければ増え、悪ければ減ることになります。

だから個人が受け取る賞与額の計算式は、おおむね以下のようになります。

賞与算定基礎額(月給であることが多い)×個人評価係数×会社業績係数

ここにさらに所属事業部の業績を反映する場合もありますが、そのあたりは会社によってそれぞれです。

納得性・公平性で不満が生じやすい業績評価

ではこの個人評価係数の根拠となる業績評価ですが、みんなが納得しているものでしょうか。実際のところ、人事評価の現場では、不満が多く聞かれる場合もあります。

たとえば業績が数字でしっかり判明する場合だと不満が減ると思うかもしれません。営業職のように個人別の売上額がはっきり計算できる場合です。

いえ、そんな場合でも、不満がたくさん聞こえてきます。

「目標が高すぎた」「売り上げが立たなかったのは環境のせいで自分が悪いわけじゃない」「そもそも努力が認められないのはおかしい」などなど。

不満が出てくるのは結果としての評価が低い場合に多いのですが、それなりに高い評価であったとしても、本人が想定していたよりも評価が低い場合には不満の声があがります。

数字がはっきり見える評価ですら不満が出るのですから、数字が見えない場合だともっと不満が出てしまいます。

「評価の根拠があいまいだ」「日々の仕事を見ていないのに何を評価しているのか」「どうせ好き嫌いで評価しているんだろう」などなど。

会社の人事部ではそれらの不満にこたえるため、管理職に対して評価者研修を実施することもあります。民間シンクタンクの産労総合研究所(東京・千代田)による2016年の調査ですが、評価者研修を実施している企業の割合は71.4%にものぼります(https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/jijiromu/hyokaseido/pr1702-2.html)。

ただ、現場を知る立場で言えば、管理職登用時には評価者研修をするものの、その後はまったく放置している企業が大半です。結果として「10年ほど前に研修は受けたけれどそれっきり」というような管理職ばかりになる会社も多いのです。ちなみに弊社セレクションアンドバリエーションでは、クライアント企業の管理職を3チームに分けるなどして、3年ごとにローテーションしながら都度のニーズに合った評価者研修を行うことを勧めています。そうすることで、評価に対する意識を呼び覚ますとともに、あらためて最新の面談手法や心理学トピックなどを学んでもらえるからです。そうして、一人一人が納得し活躍できる評価が実現します。

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