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本当の評価は人事評価だけでは見えない

そうして評価者教育を施し、一定の納得性が担保されてなお、評価のエラーが生じることはあります。そこには人間心理が深く関わってきます。

それは、上司が部下に嫌われることを恐れる場合です。公正に評価をすると、少し低めの評価になってしまう。あるいは標準レベルの評価なんだけれども、来期も頑張ってほしい。だから本来の評価よりも少し高めにつけてしまおう、と上司側が部下に忖度(そんたく)してしまうときに起きる問題です。それもまた、人間心理です。

結果として、多くの企業の人事評価は高止まりする傾向があります。会社によっては標準以上の評価点に95%以上の従業員が当てはまってしまう場合すらあるのです。

みんな自分の評価結果はわかりますが、会社全体の評価傾向については、人事部が公表しない限りわかりません。その結果「今期もまあまあの評価だったな」と思ってしまいますが、実は上司にしてみれば低い評価をつけたかったけれどもつけられなかっただけ、ということも多いのです。

本当の評価の見極め方

コロナショックがおさまった先、どうも社会や経済の環境は、激動の度合いを高めそうです。収束するよりもむしろ、勝ち組と負け組に二極化する傾向が見え隠れしています。そんな中、会社の業績が悪化してしまうと、「本当の評価」によって「リストラ」の対象になってしまうこともあります。

賞与や昇給につながる人事評価だけでは、なかなか見えない「本当の評価」はどう見ればいいのでしょう。

今も昔もその基準は大きく変わりません。それは異動リストにのるかどうかです。

昔から多くの企業では、人事異動の時期に、各部署から異動候補者のリストが集められます。それは各部長や課長が、うちにいらない、と思っている人たちのリストです。まれに「彼/彼女は別部署でさらに経験を積むことでよりキャリアアップできる」と判断される場合もありますが、たいていは、優秀な人は自部署に囲い込み、そうでない人を外に出すばかりです。

もちろん異動リストを部下の立場で見ることはできません。だとすればどう確認すればよいのでしょう?

それは日々の上司からの仕事の割り振りからある程度想像できます。

何らかの仕事を依頼され、その結果が出た後、しばらくして、新しい仕事を割り振られるかどうかが判断基準です。さらに言えば、新しい仕事の難易度が上がっているかもポイントになります。

評価が高いということは、難しい仕事や困った仕事を任せられる人材の証しです。そうして成長することを期待されるからです。

一方で、慣れ親しんだ仕事だけを任されているということは、こなすことだけを期待されているのかもしれません。

人事評価だけでなく、普段の上司からの仕事の割り振りから、自分の評価を見極めてみましょう。

 平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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