変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

「実践」のための教科書に

本書は、基本的に小さな企業で予算がふんだんではない場合を想定し、またリモートワークでスクラムを進めることを前提として書かれている。したがって、大きな初期費用は不要で、すぐに動き出せるノウハウが多い。例えば、オンラインツールとして、最大10ユーザーまで無料で利用できるプロジェクト管理ツールの「Jira」、オンラインのディスカッションで利用できるホワイトボード「Miro」の使い方が詳述される。初心者には、こうしたツールの存在を知るだけでも実践への手がかりになるはずだ。

スクラムに成功している企業の具体例も参考になる。例えばマーケティングオートメーションツールを開発するスタートアップのSATORI(東京・渋谷)は、18年から開発部門にスクラムを導入していたが、「Scrum@Scale」と呼ばれるフレームワークを使って組織全体にスクラムを広げた。詳細は本書を読んでいただきたいが、共通のゴールを持つ複数のスクラムチームで「スクラムオブスクラム」を形成し、組織全体を運営するようにしたという。新しい組織運営の形として、スクラムの可能性を感じさせる。

本書は巻末にインデックスがついており、専門用語について辞書のように使ったり、とくに知りたい項目について拾い読みしたりもできる。基礎知識を持つ人にとっては、本書を教科書代わりに、実践に取り組むことも有効だろう。

(情報工場エディター 前田真織)

 情報工場 
 広い視野と創造力を育成する「きっかけ」として、様々な分野から厳選した書籍をダイジェストにして配信するサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を展開している。「リスキリングbooks」は、「SERENDIP」で培った同社ならではの選書力を生かし、リスキリングに役立つ書籍を紹介する。

小さな会社のスクラム実践講座

著者 : 柏岡秀男
出版 : エムディエヌコーポレーション
価格 : 2,420 円(税込み)

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