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大室 どんな仕事も最初は面白くないじゃないですか。例えばスノーボードって、最初何回も転びますよね。習得期間がある程度あって、その最初の転ぶ期間を全部「向いてない」って判断してしまうと、何もできない人になっちゃう。できないからつらいのか、本当に合ってないのか、というところの見極めは難しいなと思いますね。

「学習できる」という大事なスキル

塩野 この話は、採用面接で見ている「学習できるかどうか?」に通じますね。よく「コーチャブルかどうか」という言い方をします。例えば「ラグビーを1年生から始めてレギュラーになりました」という話題では、その実績を見ているんじゃなくて、何かを一定のところまで学習できるかを見ているんです。踊り場を抜けると面白くなるのが語学だったり、スポーツだったり。

大室 楽器もそうですよね。

塩野 そうそう、音楽やスポーツって、できるようになるまでに一定の必要時間があるという経験をさせてくれるので、予行演習としていいんですよね。学習できるっていうのは何でも応用可能なんです。「今はとにかく物量勝負の期間だ」って思えるかどうかは仕事でも大事なので。

大室 今は70歳まで働くと言われる時代なので「入る部活間違ったな」みたいな感覚があれば、逃げるというのはプランBとして持っておいていいと思います。一方で、習得期間はそういうものだということも認識しておいた方がいいですね。

経営共創基盤・共同経営者の塩野誠さん(写真左)。ゴールドマン・サックス、ベンチャー起業、べイン、ライブドアなどを経て現職。大企業のコンサルティングや北欧・バルト地域でベンチャー投資を行い、フィンランド在住経験がある。著書に『20代のための「キャリア」と「仕事」入門』(講談社)『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)など。

経営共創基盤・共同経営者の塩野誠さん(写真左)。ゴールドマン・サックス、ベンチャー起業、べイン、ライブドアなどを経て現職。大企業のコンサルティングや北欧・バルト地域でベンチャー投資を行い、フィンランド在住経験がある。著書に『20代のための「キャリア」と「仕事」入門』(講談社)『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)など。

塩野 こういう話で最近思うのが、かなり「専門性病」がはやっているなと。ジョブ型へ移行している時期なので、キャリア教育の名目でスキルや専門性が大事だという話をされることが多くなっているからだと思います。でも受け手側は「スキルって何?」っていう状態のまま言葉だけインプットされていて。

例えば、入社直後は複数の部署を回ると言われると、「僕、専門性がほしいので回りたくないです」と短絡的に言ってしまうケースも聞きます。さすがにもう少し長い目で見ようよ、と思うのと、本当に専門性と言うならかなり特化しないといけないです。3年だとデータサイエンスも経理も法務も、スキルと言えるほどのスキルって身に付かないんです。

あと、親が偉い人だから入れた、みたいなコネの話を学生はネガティブに捉えると思うんですけど、社会ではコネみたいな話が多いんですね。「あの人、信頼できるよね」って偉い人に言われると、すぐ他社に移れるとか。そういう関係性で成り立っている社会の方が大きいのに、「スキル、スキル」と言っているとなんだかちょっと残念な人に見えてしまう。

大室 自分のために開く悟りと違って、スキルってビジネスで使うものだから、他者のためにあるものなんですよね。昨日より今日、今日より明日と、どんどん自分でできることが広がっていく感覚が楽しいのはわかる一方で、ビジネスは相手がある。

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