評価の良い部下と悪い部下、面談で時間をかけるべきは
技術者の働き方ホントの話セレクション評価の良い部下ほど成長のチャンス
では、良い評価を受けた部下には管理職はどのように接しているのでしょう。研修の場などで確認してみると、かなりお粗末な対応をしているようです。「評価が良いから伝えやすい」「良かったねの一言で終わりにしている」などという管理職が多くいます。
評価が良いときほど、次の目標を考える絶好のチャンスです。部下の今後のキャリア観を共有する良い機会なのです。
評価が悪かった部下に来期の目標の話をしても、すぐには前向きな話は出てこないでしょう。しかし高評価を受けた部下は、気持ちがポジティブになっています。将来的な展望も含めて、今後についてじっくり話をしましょう。
まず、今期の目標が達成できた理由を一緒に振り返り、部下に自信を持ってもらいます。本人が気づいていない長所や功績も伝えてあげましょう。他のメンバーによるポジティブな評価があれば、それも教えてあげると、さらなる自信につながります。
そして来期の成長計画です。管理職がテーマを与えるだけでなく、自信をつけた部下が自ら新しい業務に取り組んでみたいと言い出すこともあります。それが部門内の業務であれば、仕事の割り振りの参考になります。
他部門で挑戦したいという部下もいるかもしれません。当人や会社の成長につながるのであれば、異動を検討してもよいでしょう。成長して一定のスキルを身に付けた部下が他部署に異動してしまうことを嘆く人もいますが、管理職なら全社の視点で考えるべきです。部下が成長して巣立ったなら、新しい部下を呼び込み育てるのが管理職の仕事です。
評価が悪い部下への伝え方に悩むのと同じ時間と労力を、ぜひ評価の良い部下にも費やしてみてください。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。