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問題は株価だけじゃなく、ホテルなどの不動産も安すぎると、外国人にどんどん買われてしまうことです。外国人に買われたっていいじゃないかと思われるかもしれませんが、ホテルや旅館の例でいえば、日本人の勤勉さやきめ細やかな心遣いが、高い付加価値を生んでいるのに、その価値の最終的な帰属先が外国の個人や企業になってしまうのは、私は良くないと思います。もちろん安全保障上の問題もあります。

日本の企業や不動産が外国に買われることに対する危機感を訴える

日本の企業や不動産が外国に買われることに対する危機感を訴える

私としては是非、今後は日本人で日本の株式を買おうという方向にスイッチが切り替わればいいと思っていますが、日本ではいまだに株式投資に対して冷ややかな見方というか、株式でもうけることをどこか「ぬれ手で粟(あわ)」のようにネガティブに捉える向きがあることが残念でなりません。そういう考え方は本当にナンセンスだし、自分たちの国を外国に安売りしてどうするんだと憤りを感じます。例えば、米国は「株高は社会にとって大切です」というのが超ウルトラコンセンサスで、大統領から中央銀行総裁、役人、政治家、一般の人も皆がそう思っていますよ。世界は今、オープンですから、安くていいものがあればどんどん買われてしまいます。日本の企業や不動産がどんどん外国に買われてしまうことに対する危機感をちゃんと皆で共有すべきだと思います。

ここまで投資の話をしてきたので、日本の未来を担う子どもたちに対する投資教育についても触れたいと思います。「金銭・金融教育」などともいわれますが、あまり大上段に構えて専門家のレクチャーを聞いたりするのではなく、お金の使い方について子どもたち自身が考え、自ら学ぶ機会を増やしていった方がいいと思います。

「あなたなら10万円をどう使う?」

小学生に1000円を渡せば多分、理想的な使い方をします。お菓子やおもちゃ、文房具を買い、ひょっとしたら余った50円くらいでお母さんに何かプレゼントしてくれるかもしれません。1万円でもきっと賢い使い方をするでしょう。でも10万円だったらどうでしょうか。かなり一生懸命に考えないと思いつかないと思います。そこで「あなたなら10万円をどう使う?」と問いかけ、一人ひとりが自分の考えをクラスで発表するのです。

年齢が上がるに従い、例えば中学校なら100万円、高校生なら1000万円、大学生なら1億円という風に金額も増やしていきます。突拍子もないアイデアを言う子がいたりして、皆で「ああでもない」「こうでもない」とワイワイ話し合うことになるでしょう。中学生なら株価を調べ、「ここの会社の株を買いたい」などと言い出す子もいるでしょうし、「○○のNPOに寄付する」と主張する子もいるかもしれません。高校生、大学生なら投資や寄付の他にも、自分で事業をしたいなどといろいろなアイデアが出てくるでしょう。あるいはライフプランを考えながら、「収入はだいたいこの年齢でこのくらいあるだろう」などと仮定し、どのタイミングで何に使うかを発表し合うのも良いでしょう。教えるのではなく、自分たちで考え、互いの考えを聞くことで学んでいく自習です。そういう学び方をした大人が増えれば多分、会社経営だって税金の使い方だって、もっとうまくなっていくはずです。

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