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社会人2年目、現役大学生からの素直な疑問

今回は、Voicyの専用チャンネル「ヤング日経」の木曜パーソナリティー・佐藤可奈子さんと金曜パーソナリティー・神下芽衣さんをゲストに迎え、プロティアン・キャリアについての率直な疑問を田中氏にぶつけてもらった。現在社会人2年目で専門商社の新卒採用担当と人事担当を務めている佐藤さんからはこんな質問が出た。

佐藤さん 私は今、中途採用にも関わっているのですが、候補者の「転職回数」を検索する機能がサイトに備わっているものがあります。履歴書にたくさんの職歴があることはマイナスに働く場合もあるのではないかと思いますが、何かアドバイスがあればお願いします。

法政大学教授で一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事の田中研之輔氏

法政大学教授で一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事の田中研之輔氏

田中氏 組織内キャリア型を推進していてまだまだ中途採用が少ない企業の人事は、職歴が多いことをマイナスに捉えるかもしれません。ただし、今の企業は二極化しています。自立型のキャリア支援に積極的な企業ならば、これまでのキャリアを通して何を得たのかしっかり説明することができれば、新しいチャレンジを前向きに応援してくれるはずです。「回数」ではなく、転職やキャリア形成の「質」が問われるようになってきていると考えたほうがいいと思います。

佐藤さん 転職する人が増えてプロティアン・キャリアを意識する人が増える中、社員に長く働いてもらいたい企業側はどうすればいいか教えてください。

田中氏 選ばれる企業になることです。自分のキャリアを大切にしたいと誰しも思っています。それに応えられる組織になっていないなら、キャリア施策を打つ必要があります。社員のキャリアを応援できるような企業でなければ、今後は優秀な人材は入ってきませんし、優秀な人材からいなくなってしまうと思います。

次に、聖心女子大学英文学科3年生の神下さんからも質問してもらった。

神下さん これから就職活動というときに「45歳定年制」のニュースを聞いて不安になっています。この件について、ご意見をうかがいたいです。

田中氏 ショックなニュースだったと思いますが、法律的には60歳以下の定年解雇はできないので、世の中に向けたメッセージだと受け取ったほうがいいと思います。グローバルシーンの中でこの30年、日本企業の生産性・競争力は相対的に落ちてきています。「みんなもっとやれる」「みんなでもっと頑張ろう」というメッセージを、新浪社長はこの言葉に思いを込めて送ったのではないでしょうか。働く未来がなくなると捉えるのではなく、未来の自分を見据えて生きがいを育てていくことだと思います。

神下さん ワーキングマザーとして仕事をする場合のキャリア形成は、どのようにしていけばいいかをうかがいたいです。

田中氏 子育てや介護には、「子供を迎えに行く」「親を病院に連れて行く」など、「そこに居なければならない」という身体性が伴いますが、リモートワークが進み、働き方がフレキシブルになる中、女性の働く環境は以前より整ってきていると思います。子育てや介護での経験は、その後のキャリアに必ず役に立つ「キャリア資本」になるというのが、プロティアン・キャリアの考え方です。従来のキャリア論のように、それらが女性のキャリアのブレーキになるという考え方は、もう古いと思います。ライフイベントも大切にしながら、働くことと生きることを両立し、それを応援してくれる会社で活躍してほしいと思います。

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