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生涯現役のためのスキルは目の前の仕事からも得られる

これらの選択肢は、その前提となる事実とともに、多くの人たちが知っているはずです。

けれども、なぜかほとんどの人たちが行動せず、定年を迎えています。そして給与を減らされてもなおそこにしがみつくしかない生き方を選んでいます。

そうならないためにも、20代、30代の内から、自分はどんな生き方を目指したいのかを考えておかなくてはいけません。

もちろん、金融資産を獲得するための投資に関して言えば、収入面での余裕がないとなかなか踏み切れません。

しかし生涯現役のためのスキルを高めていくことなら、普通に働きながらでも十分に可能です。

前回の記事〈上司の「好き嫌い」より価値の創造 新しい人事評価軸〉でも示したように、会社の中の人事の仕組みは大きく変わりつつあります。

上司にこびる人よりも、自分たちがどんな価値を提供しているのか、ということを理解して、その価値を高めるための活動に注力している人を評価する会社が増えています。

だとすれば、どんな会社で勤務していたとしても、自らの生み出す価値を理解し伸ばしてゆくための行動をとることで、価値を生み出すための本質的スキルが身につくようになります。

たとえばそれは、相手の立場や考え方を尊重したコミュニケーションスキルであったり、目の前の複数の課題がなぜ生じているのかを見極めるクリティカルな思考力であったり、提供するサービスのメリットを広めながら顧客を増やしてゆくマーケティングスキルだったりします。

その際の判断基準は、「仮に自分がフリーランスだとして、会社は私に仕事を発注してくれるだろうか」というものです。そうなることを目指して、日々の業務への取り組み方を変えるだけで、生き方の選択肢は増えてゆきます。それもまた人生100年時代の生き方に他なりません。

 平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

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