何が求められている? スキルを見つけ出す3つの方法
ビジネススキル強化メソッド (1)
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では、実際に企業はどんな能力を社員につけさせようとしているのでしょうか。研修の実施状況から推し量ってみましょう。
「人材育成『テーマ別研修』に関するアンケート調査」(HR 総研、2019 年)によると、コンプライアンス研修(実施率64%)、ハラスメント研修(同53%)、個人情報関連研修(同42%)、メンタルヘルス研修(同40%)が上位を占める結果になりました。
どちらかといえば、これらは現代ビジネスパーソンの一般知識のようなものです。続くリーダーシップ研修(同33%)、コミュニケーション研修(同25%)、ロジカルシンキング研修(同22%)、プレゼンテーション研修(同21%)などが、ビジネススキルの開発を目的として実施されているものと思われます。そう考えると、先ほどの調査結果と似たような傾向が見られることが分かります。
一方、「教育研修費用の実態調査」(産労総合研究所、2020年度)では「管理職研修(課長研修)で取り上げるテーマ」を調べています。上位を占めたのが、部下育成・管理(87%)、組織管理(64%)、メンタルヘルス(58%)、コミュニケーション(55%)、目標管理(53%)、企業倫理・リスクマネジメント(52%)でした。
カッツモデルにおいて、ミドルマネジメントで重要とされたヒューマンスキル(対人系のスキル+組織系のスキル)が、ずらっと並んでいます。いかにも日本のマネジャーらしい傾向だと思います。

世界で求められるスキル
今度は視野を少し広げて世界に目を向けてみましょう。世界のリーダーが集ってグローバルな課題を議論する「世界経済フォーラム年次総会」(通称:ダボス会議)で「2020 年に必要なビジネススキル」が発表され、大きな話題になりました。
栄えある第1位は「複雑な問題解決」(Complex Problem Solving)でした。今の社会環境を考えれば順当なところでしょうか。
それを支える「クリティカルシンキング」(Critical Thinking)と「創造力」(Creativity)が2位・3位となっています。思考系のスキルがトップ10 の上位を占め、対人系のスキルや組織系のスキルが後に続いています。

トップ10 に挙がったスキルを見ていると、多様な人々と協働し合いながら高度な問題を解決していくグローバルリーダーの姿が見えてきます。
組織コンサルタント。日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「ビジネススキル図鑑」「ビジュアル ビジネス・フレームワーク[第2版]」など。