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新規事業に専念、地方創生・大学DX仕掛ける

1人で起業したが、メンバーをジワジワ増やし、試行錯誤しながら、経営体制も固めた。最高執行責任者(COO)に元リクルートの古瀬康介氏、最高財務責任者(CFO)には中西勇介氏をそれぞれ迎え、「既存のスクーの事業や基本的な経営管理は2人に任せて、自分は新規事業に取り組んでいる」という。

「家康型」の経営者と自己分析する森さん

「家康型」の経営者と自己分析する森さん

森さん自身は今、大学や地方創生をテーマにデジタルトランスフォーメーション(DX)を仕掛けている。大学も地方も、少子高齢化が急速に進む中で、オンラインを活用した対応策が不可避となっている。30あまりの自治体と連携して地方の教育格差を解消する試みなどを始めた。

「来年、何がはやるかを正確に当てることは難しいが、少子高齢化の日本で10〜20年後に大学や地方がどうなり、何が必要になるかは予想が付きやすい。そこに向けて複数の取り組みを仕込んでおく。後は機が熟すのを待つだけだ」という。

社長ぽくない経営者、焦らず、時を待つ

森さんを取材していると、起業家にありがちな気負いをあまり感じない。常に笑顔を絶やすことなく、自然体でリーダー特有の圧を出していない。唯一の趣味は仲間とワイワイやる草野球、睡眠も10時間はとるという。「よく社長ぽくないねといわれる」と笑う。

そして「僕、焦っていないんです。起業家になると、いつまでに上場したいとか熱く語る人がいるが、そうではない。もちろん常にたくさんの新しい取り組みは考えていますが、自分本位のタイミングでガツガツやろうと思っていない。信長型ではなく、『鳴かぬなら鳴くまで待とう』の家康型だ」と語る。

森さんがサービスを開始してから11年。DX時代を迎え、リスキリング市場が急拡大している。スクーの動画の講座数は約8千に上り、登録会員数は78万人を突破。導入企業数も2600社を超えた。「この10年も色々大変だったけど、リクルート時代のつらさを思えば、なんと言うことないですね」とニヤッと笑った。「家康型」経営者の森さん、忍耐強く着実に歩を進めてゆく。

(代慶達也)

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