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産後パパ育休中の経済的支援など改正点に留意

改正育児・介護休業法は、22年から23年にかけて段階的に施行されています。4月の改正では、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は(1)育休・産後パパ育休に関する制度、(2)育休・産後パパ育休の申し出先、(3)育児休業給付に関すること、(4)育休・産後パパ育休期間に負担すべき社会保険料の取り扱いについて、個別に周知することが義務付けられました。また、育休を取得するかどうかの意向確認の措置も個別に行うこととされました。

さらに、育休等の申し出が円滑に行われるようにするため、研修の実施や相談窓口の設置などから1つ以上の措置を選択し、雇用環境の整備をすることが事業主に義務付けられています。こうした改正によって、なかなかわかりにくかった勤務先の制度内容が、働き手にもっと身近に感じられるようになっていくのではないでしょうか。

経済的な支援としては、10月から産後パパ育休期間を対象とした「出生時育児休業給付金」が新たに創設されました。産後パパ育休中に給与が支給されない場合、一定の要件はありますが、休業開始時賃金日額(休業開始前6カ月の平均賃金日額)の67%が支給されます。支給上限額は284,964円(休業28日)で、この額は毎年8月1日に見直されます。

また、育休(産後パパ育休を含む)期間中の社会保険料の免除制度もあります。一定の要件を満たしていれば、月給・賞与に係る社会保険料が、本人負担分・事業主負担分ともに免除されます。10月から一部改正があり、その月の末日が育休期間中である場合に加えて、同一月内で育休を開始・終了し、取得日数が14日以上(就業日数を除く)の場合も新たに免除対象になりました。ただし、賞与にかかる保険料は、連続して1カ月を超える育休を取得した場合に限り、末日を含む月が免除となるなど、変更点にも注意したいところです。

このように、仕事と育児に関する法律は、改正が頻繁に行われています。育休の取得を希望する方はもちろん、職場で円滑に育休の取得が進むように管理職の方などもぜひ理解を深めていただけたらと思います。産後パパ育休の創設を機に、社会全体で男性の育休を後押しする流れができたら、私たちの働き方やライフスタイルは一歩前進できるのではないでしょうか。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。グレース・パートナーズ株式会社代表。人事労務・社会保険面から経営を支援。多様で柔軟な働き方の雇用環境整備や女性の雇用問題に積極的に取り組んでいる。働き方やキャリア、社会保障などをテーマに多数執筆。

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