平等より公平性に着目を アーティスト・スプツニ子!
ダイバーシティ進化論
ダイバーシティ日本で女性活躍を語る際に「女性にゲタをはかせるのか」「逆差別だ」と懐疑的な意見を聞くことがある。だが、少し立ち止まって考えてほしい。
日本ではたった4年前、医学部で女性を不利に扱う入試不正事件が明らかになった。同じ大卒でも男女の賃金格差は大きく、管理職の女性割合は1割程度だ。格差を生み出す社会構造の問題があり、これを無視したまま男女を平等にスタート地点に立たせても、公平な結果は生まれない。
人事戦略ではこれまで多様性と包括性を意味するD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)が一般的だった。これに公平性を加え、DE&Iを掲げる企業が日本でも増えている。公平性を軸足に、女性や少数派が置かれた環境を底上げしていくことが日本でも重要だ。それが社会構造を変えることにつながる。
スプツニ子!

アーティスト、株式会社Cradle代表取締役社長。インペリアル・カレッジ・ロンドン数学科、情報工学科を卒業後、英国王立芸術学院デザイン・インタラクションズ専攻修士課程修了。テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映した映像インスタレーション作品を制作。2013年マサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ助教に就任。その後、東京大学大学院特任准教授を経て、19年から東京芸術大学デザイン科准教授。https://cradle.care/

[日本経済新聞朝刊2022年10月17日付]