自分がどうありたいか ビジョン描く起点は過去の経験
ポジウィル代表 金井芽衣さん(下)
キャリアとお金を考える――キャリアアップに成功したユーザーの事例はありますか。
不動産会社で働いていたある女性は人材会社への異業種転職を成功させ、年収が150万円ほど上がりました。自身のキャリアアップ志向に気付き、実績に基づいた評価が得られる環境へと身を移した結果です。
化粧品会社の販売部員で年収250万円だった女性は、同じ美容業界で1度転職。顧客の要望に合わせたサービスプランを提供する営業要素の強い職務を経験しました。そこから2度目の転職に挑戦し、念願だった営業への職種転換をかなえ、年収も70万円ほど上がりました。本人の希望だったとしても、新しい職場で未経験の仕事にいきなり挑戦するとなると大変です。だから1度の転職で目標を達成できなくても構わないと思います。望むキャリアをイメージした上で、足りないスキルや経験を取りに行く意識が大切です。

「とりあえず学んでおけば」というのはお勧めできないという
――足りないスキルを取りに行く方法として「学び直し」も注目されています。
有効な場合もありますが、リスクもあります。昨今、英語やウェブデザイン、プログラミングが「自分の市場価値を高めるスキル」として称揚される傾向が見られます。ただ、「とりあえず学んでおけば役に立つだろう」という安易な姿勢でお金や時間を投じるのはお勧めできません。
キャリアスクールに多額の入学金や授業料を払ったのに、仕事の幅を広げたり、収入を上げたりできるレベルまでのスキルは獲得できず、自信を失った状態で当社に相談に来るユーザーが増えています。「思い切って投資をしたのに、結局はモノにできなかった自分」を責めてしまうのです。
本当に自分に必要なスキルなのか
でも、できなかったのはその人が駄目だからではない。プログラミングもデザインも「向き」「不向き」があります。「これさえ学べば人生が輝く」という他人の言葉に踊らされないでほしい。「本当に自分に必要なスキルなのか」「数ある選択肢の中で、自分があえて今、投資すべき先なのか」といったことをよく吟味すべきだと思います。そこの目的意識さえしっかりしていれば、学びに対するモチベーション(やる気)も上がり、結果につながりやすくなるはずです。