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希望年収の高め設定 求職者にプラスとは限らず

――中途採用選考の過程で、現在の年収と希望年収を質問されることがあります。その際の交渉の仕方次第で、もらえる年収が上がる可能性もあるのでしょうか。

現職で年収400万円の人が「年収500万円にしてもらわないと入社の申し出を受けない」といった交渉をするということですよね。これまでの職務経歴、そこで得た知見とスキルを生かして具体的にどんな貢献ができるかを説得力のある形で示せれば、十分にあり得ると思います。ただ、安易に希望年収を高めに言うのは求職者側にとってプラスになることばかりではないと考えます。私は今、経営者として自社の採用面接に臨みますが、一定以上の役職に就く可能性のある応募者に対しては「現在の年収にかかわらず、希望年収は自分で設定してくれていい」と伝えます。自分の仕事に自分で値付けをしていいということです。

自社の採用面接では「希望年収は自分で設定してくれていい」と伝えることもある

自社の採用面接では「希望年収は自分で設定してくれていい」と伝えることもある

ただし、これは提示した金額分のミッションを達成する責任を負うこととイコールです。単純化していえば、年収600万円の人は年収300万円の人2人分以上の貢献ができなければいけないわけです。

その覚悟がないまま、多少高い年収で入社できたとしても、期待された働きができなければ職場で評価を得られません。長期的観点ではキャリアにマイナスの影響を与えてしまうかもしれません。定期的に自分のスキルセット(仕事をする上で必要な個人の能力や資質、経験などの組み合わせ)を見直し、キャリアプランと照らし合わせていく作業が不可欠だと思います。

金井芽衣(かない・めい)
1990年群馬県生まれ。保育系の短期大学を経て、法政大学キャリアデザイン学部に編入し、宮城まり子教授の下、キャリアカウンセリングを習得する。 2013年にリクルートキャリアに入社し、人材紹介部門の法人営業として勤務。 17年4月に退職し、同年8月にポジウィルを設立する。国家資格キャリアコンサルタント。

(ライター 加藤藍子)

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