仕事への「思い」と「年収アップ」を両立する転職とは
クライス・アンド・カンパニー社長 丸山貴宏氏
キャリアとお金を考える例えば、30代で「採用に関わる仕事をしたい」との強い思いを持ち、あるコンサルティング会社から当社に転職した社員は当時、家族と住宅ローンがあったので年収を下げるには限界がありました。そこで、どのくらい成果を出せば、どのくらいの年収になるかを徹底的にシミュレーションし、勝ち筋のプランが見いだせたところで転職を決断しました。
彼は一時的に年収が下がりましたが、自分がやりたかった採用の仕事に従事でき、プラン通りに成果を上げることで、短期間でコンサルティング会社を上回る年収を得るようになりました。
以上を整理すると、思いと年収アップを両立させるには思いで方向性を定めた上で、現実的に年収を上げていくプランを練り、実行していく。このようなプロセスを踏んでいくことになるでしょう。
「思い」を探る キャリアコンサルに相談も有効
年収のシミュレーションなどの部分は人材紹介会社が支援できますが、思いに関しては本人が持っていないとどうにもなりません。そして、30歳前後の候補者でいえば、明確な思いを持って転職活動を始める人は限られています。我々の感覚的には1割程度ではないでしょうか。
ただし、プロのキャリアコンサルタントと話しているうちに、ぼんやりとしていた思いが明確に言語化されていく人たちが3~4割くらいいます。従って、思いを探るには自分1人で考えるだけでなく、キャリアコンサルタントに相談するのが有効な手段です。
そのときのポイントは評判の良い人材紹介会社を選ぶこと。そして、自分なりの仮説を持って相談しにいくことです。残念ながら人材紹介会社の中には候補者の思いやキャリア設計を考えず、手数料を稼ぐために転職しやすい企業を勧めてくる会社もあるからです。
クライス・アンド・カンパニー社長。リクルートで人事採用を7年担当した後、1993年に30~40代の経営幹部を中心にしたビジネスプロフェッショナルのための人材紹介会社、クライス・アンド・カンパニーを設立。著書に「自分に合った働き方を手に入れる!転職面接の話し方・伝え方」「そのひと言で面接官に嫌われます」ほか。