働きがい・働きやすさ、就活生も重視 多様な選択肢を
人生100年時代のキャリアとワークスタイル
働き方多様化するキャリア意識
先ほどご紹介した、日本経済新聞朝刊2022年3月28日付「就活女子学生の2割 『活躍見込めず』選考を自ら辞退」の記事には、女子学生が「企業研究で『かなり重要視』『まあ重要視』するとした回答の合計は『残業や休日出勤の実態』(93.7%)が最多で『有給休暇の取得率』(92%)が続いた」とあり、「『子どもの看護など両立支援制度』(84%)、『男女の育休取得率』(82.6%)も多かった」といいます。同時に「転勤の実態」や「在宅勤務など多様な働き方」をかなり重要視するという回答も多く、企業のブランドイメージもさることながら、働き方・休み方の実態を確認している様子がうかがえます。
一方、この記事では「新卒入社の会社で定年まで働き続けるとの回答は11.5%にとどまり、10年以内の退職見込が68.9%に上った」とも伝えています。「退職理由は、転職や学び直し、起業など自身の意志に基づくキャリアシフトが48.7%」とあり、自らキャリアを切り開いていこうとする意欲的な意識が感じ取れます。同時に「結婚(20.3%)や出産・育児(22.7%)も一定数いた」とあり、多様化するキャリア意識が浮き彫りとなりました。
筆者が以前、女子大学生らにキャリア観を聞いたとき、「結婚するかどうかわからない」と答える学生も多く、そのためか出産後の働き方や転勤の有無などについて、あまりシビアに考えている様子はうかがえませんでした。もしかしたら、働き続けていくうえで乗り越えなければならないライフイベントについて、あまりイメージがつかめていないのかもしれません。むしろ、どうキャリアアップしていくか、個人としての成長意欲は高く、自分が高められる環境や性差のない均等な待遇を重視しているように映りました。キャリア形成における意識は、受動的なものから、より主体的なものへ変化していると感じます。
学校では男女平等の教育を受けていて、比較的ジェンダーギャップを感じる場面は少ないことでしょう。社会に出れば、採用面接で感じたようなジェンダーバイアスを、もっと感じる場面が出てくるかもしれません。先ほどの記事では、女性活躍が見込めないと感じて選考を辞退する女子学生の割合が2割とのことでした。今後、適切な教育を受け、ジェンダー意識に配慮した企業を見抜く目を養うことで、その割合はもっと増えていくのではないかと考えます。
採用選考の段階から、オンラインが主流となっている今、理想とする働き方においても変化の兆しが見られます。特にコロナ禍で在宅勤務、リモートワークが拡大したことにより、働く場所や時間に縛られず、自由度の高い働き方を望む声も多く聞かれるようになりました。
企業側においても、画一的な「女性向け」のロールモデルではなく、多様で柔軟なキャリアパスや働き方の選択肢を示すことが、ますます求められていると言えるでしょう。
