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評判や信頼残高を積み重ねてきたリーダーだけが生き残る

これも私は折に触れて各所でお話ししたり書いたりしてきたことですが、「一事が万事」ということが、特に経営者やリーダーの皆さんにとっては常について回ります。

この連載の過去の記事(誰があなたを知っているか 転職で重み増す「人脈力」)でも以前に触れたことがありますが、皆さんが望もうとも望まざるとも、それなりの立場で業務を推進する人には、いや応なくリファレンス(経歴や評判の照会)が常について回ります。

「Aさんは、自分では決してひけらかさないけど、サプライチェーンに関する知識と業務設計力については業界トップクラスらしいよ」

「Bさんは、事業責任者だといってえらそうにしているけど、部下たちからの信任が全くないらしい」

上記の過去記事では「人脈力資産」という形で、その価値や怖さについてご紹介しました。皆さんが思っている以上に、転職活動においても、皆さんに対する評判というものは、直接間接問わず、かなり飛び交っていて、皆さんの選考評価に少なからぬ影響を与えているものです。

外資系企業や、最近では日系企業でもリファレンスチェックを最終選考時に実施する企業が増えてきていますが、正面切ってのリファレンスチェックは、結局、格式張ったものにならざるを得ず、それよりも様々な人間関係や仕事でのつながりの中から漏れ聞こえてくる評判情報のほうが、何倍も影響力があることを知っておいたほうが良いと思います。

転職活動において自身の人脈を見つめ直してみましょう。これまであなたを支えてくださった人たち、今後も有益な付き合いを続けてくれるであろう人たちは誰でしょうか?

人の顔色を見て仕事するということではなく、日常での信頼残高を積み上げているリーダーが、特に不況期や不透明な時代、逆境局面において底力を発揮でき、またこれまで積み上げてきた人脈とその人たちからの信頼が当人自身を救ってくれるのです。

5:自分の評判がこれまでもこれからもずっと、ついて回るのだということを強く認識して、行動している。

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これまで述べてきたような、1から5までの条件を持ち合わせていると採用側から感じられるリーダー人材は、入社後に間違いなく成果をあげ、チームを良い形で率いてくれるだろうと思えます。この混迷期に「ぜひ採用したい!」と企業や経営者が思うのは、こうしたリーダーなのです。

例えば、プロ野球日本ハムの新庄剛志監督(BIGBOSS)は、まさにこのタイプだと感じますが、どうでしょう? ペナントレースのスタートには大きくつまずいている感がありますが、しかし彼のリーダーとしての行動、影響力、おそらくそれらが今後もたらすだろう日ハム、パ・リーグ、更には日本野球機構(NPB)へのメリット(野球界の活性化、集客、関連売り上げ)を推定するに、日ハムは類いまれなるよい投資をしたことに間違いないと私は思っています。

井上和幸
経営者JP 代表取締役社長・CEO。1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)を経て、2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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