「複業先生」の体験談 小中高生の価値観に触れることは本業にも役立つ
「複業先生」の魅力(後編)
あしたのマイキャリア
写真はイメージ(PIXTA)
社会人の複業への関心は高く、様々な業種で取り組みが進んでいます。そんな中で、小中学生や高校生を相手に「先生」の複業をすることも選択肢に入ってきています。スタートアップ企業のLX DESIGN(東京都千代田区)が運営する「複業先生」は、自分のリアルな経験を若い人たちに伝えたいビジネスパーソンと教育現場をつなぐ複業人材プラットフォームです。2020年に運営をスタートし、現在約1250人のビジネスパーソンが登録、導入した学校は300校を超えました。前編は同社代表の金谷智さんに複業先生の魅力についてインタビューしました。後編は実際に先生として授業を経験した2人に登録のきっかけや感想などについて話を聞きました。
メッセージを直接伝えられることが魅力
1人目は大手自動車メーカーに勤務する斉藤由香さんです。

斉藤由香さん(写真右)。神戸大学を卒業後、自動車メーカーに入社。生産管理部に所属し、北米現地法人とのプロジェクト推進やタイ駐在などを経て、現在は管理職として従事。企業内労働組合に出向中、キャリア支援の重要性を感じて「キャリアコンサルタント」の資格を取得。複業でキャリア教育やノートトレーナーの講師業をしている。
――現在の仕事の内容と複業先生に登録したきっかけを教えてください。
「今、3足のわらじを履いています。本業は自動車メーカーで生産管理部門の管理職です。複業としてキャリアコンサルタントの資格を生かして、小学生から大学生までを対象にしたキャリア教育に携わり、方眼ノートトレーナーとしてノートの活用法を教えるフリーランスの講師もやっています」
「複業先生に登録したのは21年11月です。20年にキャリアコンサルタントの資格を取得し、知人の紹介で大学生などに授業をしていました。大学生だけでなく、さらに教えられるエリアを広げたいという思いがあって登録しました」
――なぜもっと広げたいと思ったのですか。
「様々な学生と話をする中で、身近な学校の教員や親御さんだけではなく、多くの大人たちと接して働き方や仕事、生き方を知り、多様な価値観に触れることができれば、人生の選択肢はもっと広がるのではないかと感じていました。未来を支えていくのは10代、20代の若者であり、彼らと大人がコミュニケーションをとる機会をつくったり、生き方のモデルになるような話をしたりすることは大きな意義があると考えています。複業先生は小中高生にメッセージを直接伝えられることが魅力でした」
――授業をした感想は。
「これまで小学5年生と中学・高校生を対象に、2回授業をしました。5年生向けのテーマは『幸せとは何か』について考える授業、中学・高校生は『3足のわらじを履いて歩むキャリアの秘訣』がテーマでした。授業では自動車メーカーの管理職やキャリアコンサルタントとして働く魅力を具体的に挙げながら、大学生活やその先の人生で大切にしたい人とのつながり、そのときどきの選択の考え方などを伝えました」