24歳「Z世代の企画屋」 刺さるコンテンツ生み続ける
僕と私とCEO 今滝健登さん
チャレンジャー今滝さんが就職した2020年4月は、ちょうど新型コロナウイルスの第1波が日本を襲った時期。入社早々リモートでの出勤となり、通勤にかかる時間がきれいに空いた。「その時間で副業を始めると、また起業をしてもいいかなと思うようになった」という。そうしてその年の11月、自分への誕生日プレゼントとして現在の会社「僕と私と」を設立した。
自分の選んだ道を正解にする
半年ほどは会社員と起業家の二足のわらじを履いていたが、そのうち「一緒に働きたい」と手を挙げる仲間が増え、会社を辞め起業家に専念することを決めた。「マンガの『ONE PIECE(ワンピース)』ではないですが、仲間集めが楽しいなと思えるようになった」。集まったメンバーは「若くてもノウハウを持っていたりアウトプットができたりする優秀な人たちばかり。そういう自立した人たちが集まると、それぞれの強みが重なり合って最強のチームができる」。もとより先生志望だった今滝さんには、人の能力を見抜いたり組織をまとめたりする適性があったのかもしれない。

僕と私とが企画に参画した複合施設「Section L Pop-up House」(東京・渋谷)
しかし一度は大手に就職し、改めて起業家に舵(かじ)を切るのは勇気がいる決断ではなかったのか。今滝さんは「就職も起業も両方経験した結果、自分には起業の方が向いているというのが分かった」と明かす。起業と就職のどちらかが正解でどちらかが不正解というわけではなく「自分が選んだ道をどう正解にして自分の学びに変えていけるかが、すごく大切だと思っています」という言葉に力がこもる。
現在約40人いるメンバーのうち9割がZ世代で、平均年齢は23歳。全員がフルリモート、フルフレックスで、時にはワーケーションも取り入れながら緩くつながる自由な働き方をしている。だからこそ、仲間をまとめる基盤としての組織作りは重視するそうだ。「サークルっぽい会社に演出していますが、実際の組織体系はかなりしっかりしている」と話すように、会社設立の当初から顧問弁護士や税理士をつけて経費の出し方一つにしてもルール作りを徹底する。
一方でカーシェアリングや無料の整体、ビジネス書読み放題などユニークな福利厚生を15以上備えて、社員のモチベーションを生み出すための工夫も欠かさない。「正直どれだけの費用対効果を生むのかは分かりませんが、働きやすい環境への投資は惜しみません。そこから生まれたモチベーションが仕事につながると思っているからです」。自分が信じる方法が正解になるよう模索を続ける。