24歳「Z世代の企画屋」 刺さるコンテンツ生み続ける
僕と私とCEO 今滝健登さん
チャレンジャー黒字化する方法は人を幸せにすること
今滝さんは現在「僕と私と株式会社」「一般社団法人Z世代」の2社で代表を務め、ほかにも複数の会社で取締役などの立場にあるが、数年内にあと10社ほどを立ち上げたいと話す。作るのは簡単だとしても経営は維持できるのか……と老婆心ながら思っていると「僕、会社を黒字化することが得意なので」と事もなげに言う。
人を幸せにしていると巡り巡って自分も幸せになるという考え方があるが、意外と会社経営にも当てはまると思っているという。そのうえで「設立してから今まで一度も自分たちから営業をしたことがありませんが、一緒にお仕事をしたクライアントさんときちんと向き合って幸せにしていると、結果的にまた案件を紹介してくださったりします」と明かす。目の前の人を幸せにすれば会社は黒字化する――このシンプルな考え方が間違っていないことを証明するように、第1期の業績はグループ会社も含め全黒字化を達成した。

「目の前の人を幸せにすれば会社は黒字化する」と話す
ユニークな働き方から生まれる今滝さんの独特な経営哲学。そんな彼を「スター性がある」と見るのは、レシピ動画サービス「クラシル」などを手掛けるdely(デリー、東京・港)執行役員の柴田快さんだ。「彼はビジネスを『金が稼げればいい』という考えではやっていない。必ず先に彼がやりたい思想や発想があって、その上でビジネスができているのが彼のスペシャルなところ」と評価する。
柴田さんは今滝さんが大学4年の頃に出会っているが「その時からは想像もできないくらいの別人になっている。まっすぐに一点集中できるエネルギーとセンスが掛け合わさって、行動を形にできている」と成長を頼もしく感じている。
楽しいから同世代ビジネス続けたい
今後、Z世代が世の中の主流になるのは確実だが、10年後や20年後も同世代向けのビジネスが安泰というわけではないだろう。今滝さんに聞いた。「僕はずっとZ世代を対象にしたビジネスを続けるつもりです」と言い切った。お金になるからではなく、ただただ同世代マーケティングをするのが楽しいからだという。「30代になったら子供向けグッズを手掛けてみたいですし、60代で老人ホームの企画を考えているかもしれません」。目指すのはあくまでも肌感覚が発揮できる同世代ビジネスだ。
その上で「Z世代のことを発信するZ世代」を目指すと言う。足元でメディアにあふれるZ世代に関する情報は、今滝さんからすると「データとしては正しいかもしれないが、ちょっと違う」のだそう。「Z世代の目線で同世代について語れる人としてテレビに出て実績を積んで、数年後には大学などで教える人になっていたい」。学生時代に目指した大学教授になるという野望は、今も忘れてはいない。
(ライター 橋口いずみ)