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慶応出身者の就職先 高年収の金融などが上位

ちなみに、この調査はオープンワークに登録した出身大学データや大学別出身者の年収、年齢を同社が独自のアルゴリズムにより集計し、出身大学の想定年収を年齢別に算出した。

早慶の年収格差の要因は何だろう。慶応出身の40代のメガバンク行員は「やはり金融や商社、コンサルタントなど年収が高い企業に就職する学生の割合が高いからではないか。最近、銀行の新卒人気は高くないが、報酬はメーカーより3~5割ほど高い。出世のスピードも慶応出身者の方が早いように感じる」と話す。

20年度の就職先ランキングを見ると、慶応は1位が東京海上日動火災保険、2位が三菱UFJ銀行で、10以内に金融は実に5社。一方、早稲田は1位が富士通、2位はNTTデータで10位以内に入る金融は2社にとどまる。

慶応は学閥パワーが強い(写真はイメージ=PIXTA)

慶応は学閥パワーが強い(写真はイメージ=PIXTA)

京都大学出身で、リクルートで長く採用を担当し、現在は人材研究所代表の曽和利光氏は別の見方で慶応の強さを解説する。「実は一般企業が一番採用しづらいのが慶応生。東大や京大の学生より採りづらい。先輩と後輩の絆が強く、オープンマーケットに出てくる前に、インフォーマルで採用が決まっていく。アルムナイ(同窓生)ネットワークの強さだ。当然、入社後も出世しやすい」という。「三田会」と呼ばれる慶応の同窓会は、組織力や結束力で今も圧倒的な力を持つ。慶応出身の30代半ばの元大手商社マンも「一言でいえば学閥パワー。それは否定できない」と語る。

曽和氏は「大手企業はコロナ禍で、人間関係重視のリファラル(紹介)採用を強化している」と話す。慶応の優位は当面揺らぎそうもない。ただ、今は転職の時代。働き手の職務内容を事前に明確に規定する「ジョブ型雇用」が普及し、能力や成果で報酬が決まるようになってきた。

早稲田出身の30代のIT(情報技術)企業社員は「早慶出身の新卒入社時の能力はほとんど変わらない。要は学び続けてどれだけ実績を上げられるかだ。私の場合、転職を繰り返して現在は3社目だが、年収1000万円は超えている。慶応出身はスマートに仕事をこなす人が多いいが、早稲田出身にはパワフルな人が少なくなく、負けていると思ったことは1度もない」と強調する。

2022年は創立者の大隈重信没後100年の節目の年。早稲田は逆襲できるのか。グローバル化やデジタル化が急速に進み、キャリアのあり方も大きく変わるなか、ビジネスパーソンの早慶戦はさらに白熱しそうだ。

(代慶達也)

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