転職希望者が「エージェントは役立たず」と感じる理由
技術者の働き方ホントの話セレクションもちろん優しくしてもらえるのはうれしいものですが、だからといって自分の転職を成功させてくれるとは限りません。すぐに転職したい人やせっかちな人は、むしろ気持ちを抜きにして確度の高い案件だけを紹介してくれるエージェントに照準を合わせたほうがよいかもしれません。
志望業界の求人案件を持っているとは限らない
エージェントと面談しても、自分の志望する業界や職種を専門にしていない人に当たることもあります。ただ、会っていきなり「あなたの志望業界は私の専門ではありません」と言うエージェントはまれでしょう。
多くの人は、専門ではなかったとしても話を聞いてみて「自分の手持ちで合う案件があれば紹介しよう」と考えるものです。大手の人材紹介会社なら、「自分の案件には合わなくても、他の担当者に紹介できるかもしれない」という前提で転職希望者に会うエージェントもいます。
「貴殿の素晴らしい経歴を拝見し、お目にかかりたい」というメールを受け取った転職希望者は「転職エージェントが自分の希望に合う求人案件を持っている」と考えがちですが、そうとは限りません。そのメールの文言はあいさつのようなものだと考えておくとよいでしょう。
では自分に合うエージェントはどう探せばよいかといえば、とにかく積極的にたくさんのエージェントに会うのが近道です。同じ人材紹介会社にエージェントが複数いる場合は、紹介されたらどんどん別の担当者とも会ったほうが転職の間口が広がっていくはずです。
筆者自身、1回の転職当たり約10人のエージェントに会いました。20年で10回ほど転職しましたので、合計100人ほどに会っています。記憶にも記録にも残っていないエージェントも多数います。筆者と相性が合わなかったり、筆者が未熟すぎて初回の面談のみで連絡が来なくなったりしたこともあります。しかしめげずに多くのエージェントと会うことで、道は開けました。
たくさんのエージェントに会うと、「自分の何が良くて、何がダメなのか」が分かるようになる利点もあります。履歴書、職務経歴書にダメ出しをしてくるエージェントは多くないのですが、10人ほど会っていれば1人くらいは役に立つ指摘をくれます。そのときは転職先を紹介されなかったとしても感謝して、応募書類を書き直しましょう。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。